REPORT 現場リポート
Freshman's Report 2020 Vol.8 「箱根駅伝一年目、山の上の年末年始」
2020年4月、入社直前から大きく変わり始めた世の中に戸惑いつつNiTRoで社会人のスタートを切った私たちですが、早いものでもう1年が経とうとしています。
そんな私たちのFreshman's Reportも今回で最終回。8人が無事に一年を過ごせたことに感謝しつつ、最終回は制作技術部VEの八谷が担当いたします。
■ はじめに
おはようございます! 制作技術部VEの八谷です!
Freshman's Report 2020を読んでNiTRo新入社員の生活を見守ってくださったみなさま、ありがとうございます。就活のためにこれから読むという学生の皆さん、先輩たちの豊富なレポートと一緒に2020年のレポート全8回をぜひご一読ください!
さて、今回お伝えする内容は年始に行われた第97回箱根駅伝の裏側についてです!
年末年始を箱根の山の上で過ごした筆者のリアルなレポートをお届けします!
■ 配属直後から聞こえていた箱根駅伝の足音
日本テレビの二大イベントと言えば夏の24時間テレビと冬の箱根駅伝。この時期が近くなるとカメラマンも音声さんもVEも全員、制作技術部全体が慌ただしくも活気に満ち溢れた様子を見せます。筆者は10月にこの制作技術部に配属されたばかりですが、配属後すぐ先輩の会話の端々から「箱根駅伝」が聞こえ、気がつけば予選会が終わり、本番に向けた機材テストで何度も箱根に足を運ぶようになっていました。
■ カメラ調整だけじゃないVE
さて、話は変わってVEのお仕事について少し紹介します。就活時から志望していたVEに配属された筆者ですが、「VE」といえばスタジオや中継車でのカメラ調整!というイメージでした。
しかし、大きな生中継の現場では特にVEの仕事は多岐に渡ります。筆者のようにマイクロ波を使って離れた場所と映像と音声の受け渡しを行ったり、経験豊富なベテランになると技術全体のまとめ役であったり全体のシステムを考えたりする役割もあります。
報道スタジオのVEについて知りたい人は山岡君のレポート、中継車や他の仕事については過去記事も探してみてください!
■ クリスマスが終わって…
年末も近づいた12月後半になると筆者の予定も箱根駅伝一色になります。コロナ禍の中""今年は""誰とも過ごすことのできないクリスマスイブを終えると、数軒分の引越しかと思うほどの量の機材をトラックで箱根の山の上へ運びます。
箱根駅伝のコースは往復全長217.1 kmもあり、各地に撮影ポイントが点在しています。そのため技術的には、大きく東京・湘南・箱根と3つのエリアに分けられます。筆者がいたのは箱根エリアの各撮影ポイントや4台の移動中継車の電波をまとめる箱根エリアの中枢である「箱根センター」。放送でも紹介されていた山の頂上に臨時で仮設する放送センターです。その屋上で移動中継車・ヘリコプター・各撮影ポイントと電波の受け渡しをするためにアンテナを動かしていました。
ヘリコプターからのマイクロ波受信アンテナを操作する筆者
箱根エリアは山の中を通っていくこともあり、移動中継車の位置によっては木や山によって遮断され、マイクロ波が通らない箇所が多くあります。そのため、大先輩たちが箱根駅伝の生放送を始めてから電波が受信できるか検証に検証を重ね、あるところでは歩いて登山、あるところでは林をかき分けてクレーン車を設置するなど努力と工夫を重ね、誰にも見えない山の中で移動中継車の電波を受信するために頑張っている技術者がたくさんいます。そんな人たちが送ってくれた映像を受信するのが箱根センターの屋上です。
受信アンテナ(横にも後ろにもたくさん並んでいます)
■ 氷点下の冬山、濃霧・暴風との闘い
数回にわたって行われた念入りな機材テストと機材の搬入が順調に終わり、本番に向けて機材のセッティングを行おうとしたその日に事件は起こりました。山の天気がとうとう牙を剥いたのです。
屋上に上がると今まで天気が良かった機材テストでは経験したことのない濃霧と暴風、凍った足場もあり自分も機材も飛ばされないように必死でした。自分自身の安全第一はもちろんのこと、同じくらい機材の安全も確保しなければなりません。この箱根センターで機材を壊してしまうと箱根各地の過酷な環境で受信してくれた移動中継車の映像も、各ポイントの様子も届けることができなくなってしまいます。駅伝走者が襷を繋げている裏で、テレビの技術者も同じく電波の襷を繋いでいるのです。
台風並みの強風の中で、体感温度は-15C°!
入社後初めての過酷な現場と緊張感に内心テンションが上がりつつも、引き続きヘルメットと安全帯を付けて細心の注意を払いながら必要なものだけセッティングを行いました。
■ 忘れられない初日の出と友人からのメッセージ
そんな厳しい年末を終え、とうとう本番前日のお正月。屋上で見た初日の出は忘れられません。
そして本番、経験豊富な先輩方と秋から時間をかけて念入りに準備を重ねた結果、OA中のトラブルもなく進み無事全国の皆さんに箱根駅伝の様子をお届けすることができました!
まだ仕事中だった筆者は放送を見ることができませんでしたが、放送終了後に友人や家族が「箱根駅伝お疲れ様!見てたよ!」というメッセージとスタッフロールに載っていた自分の名前を撮って送ってきてくれた時には泣きそうになりました。
九州の実家で毎年家族と見ていた箱根駅伝。憧れだったテレビの技術に関わるため、箱根駅伝に関わるため、親戚や友人と年末年始を一緒に過ごせないことを覚悟して東京にやってきました。コロナ禍でなかなか友人とも会えず寂しい思いをしたときもありましたが、この仕事をできて本当によかったと思えた瞬間でした。
■ 読んでくれた皆様へ!
9月から半年にわたって8人全員で新入社員の様子をお届けしてまいりました。楽しんでいただけましたでしょうか?
お仕事でお世話になっている皆様、これからお世話になる皆様、今後ともNiTRoの8人をよろしくお願いいたします!
そしてこれを読んで僕たちの仕事に興味を持ってくれた皆様、一緒に働ける日を楽しみにしています! 就活頑張ってください!
同期一同お待ちしております! (筆者は左上)