今回紹介するのはドラマや映画を中心に行われている、
ものすごく"地味ぃ~~"だけどものすごく"大切"な作業。
映像の修正作業です。
「バレ消し」などとも呼ばれるこの作業は、
本来そこにあるべきでない小道具が映ってしまったり、
一瞬画面内に入ってしまったマイクを消したりする作業です。
また、1カット1カット丁寧に撮影していても、
例えばテーブルの上にあった花瓶を撮影の合間に動かしてしまったり、
開いていたカーテンを閉めて撮影してしまったりすることもあります。
そこで登場するのがAutodeskのSmokeというマシン。
コンポジットやカラコレなどをRGB4:4:4という
ヒトコトで言えば"すごーくきれい"な画質のまま作業できます。
先日はあるドラマで、閉まっているべきドアを数カットだけ開けた状態で撮影してしまったために
ドアを合成するという作業を行いました。(写真はモデルです)

写真の合成とは違い、動画なので上下左右のカメラの動きはもちろん、
扉の前を人が横切ったり、三脚に固定された映像でも微妙に揺れていたりするので
自然に見せるには多くのステップが必要です。
まず本来そこにないはずのドア部分だけの映像を作成することからはじまります。

そしてSmokeで元の映像の揺れ、カメラの動きを分析してドアの映像にもそれを反映。
さらに映像の微妙な色や明るさの変化も反映させれば、まずはドアの取り付け作業が完成!
ここでようやく一息です。

しかしこの状態ではドアの映像を元の映像に貼り付けているだけ。
ドアのあるべき場所の前を人が横切るとドアで隠れてしまいます。
そこで今度はドアの前を横切る人の形にドアを切り抜く作業をします。
こんなとき切り抜く人の髪型によってモチベーションは大きく変わってきます。
「よし、この作業終わったらダブル餃子定食だ!」とワクワクするのはスッキリした髪型の人。
切り絵のようにザクザクと切り抜いていけばそこそこの出来となります。
逆にゆるふわパーマや、毛先だけ散らした髪形だと「レッドブル買いに行こう・・・」となります。
髪のエッジをうまく処理しないと「切り抜いた感」が出てしまうからです。
最終的に何度も微調整を重ねて完成するのですが、
自分が合成したものなのでそこばかり目が行ってしまいます。
ごくごく微妙なズレなども気になってしまい、最初からやりなおすことさえあります。
こうして完成した映像も作品として全体から見れば数カット。

作品として仕上がってしまえば一瞬で流れてしまいますが
心の中では合成したことがバレないかヒヤヒヤしながらその瞬間を迎えます・・・。
もちろん実際に撮影されたものが一番ですが、
こうした映像加工のお手伝いもNiTRoポスプロ技術センターで行っています。
「困った!」らNiTRoへ。