REPORT 現場リポート

オリンピック・レガシー ~前編~

2021.09.06
制作技術・報道技術

1年間の延期を経て開催された東京オリンピック2020は、近年で最も開催の是非が問われる大会となりました。
スポーツニュース班としてオリンピックを取材することになった私自身も、初めはオリンピック開催に疑問を抱いていました。「制限された環境下でトレーニングしてきた選手たちがベストなパフォーマンスを発揮できるのか」「無観客の開催で大会自体は盛り上がるのか」「そこに感動は生まれるのか」・・・。
不安な気持ちでスタートした取材でしたが、選手がメダルを獲得して魂から喜ぶ姿、試合に負けて落ち込む姿を目の当たりにし、そのような心配はいつの間にか消えていました。

今回は、約2週間のENG取材を通して肌で感じたオリンピックの素晴らしさを前編・後編に渡り触れていきます。

 

■ 類を見ないコロナ禍でのオリンピック
東京オリンピック2020の一番の障壁となったのが「新型コロナウイルス感染症」でした。
大会は前例のない無観客開催となり、選手・コーチ・関係者は「バブル方式」という、外部から隔離された状態を強いられることになりました。
通常であれば、観客席は各国ファンの熱気と活気で渦巻き、盛大な応援が響き渡るのに対して、がらんとしてしまった会場には異様なまでの寂しさを感じました。

選手たちは自由に練習もできず、十分な心のサポートもなく、多大なストレスを抱えていたことでしょう。それにも関わらず全力でぶつかる選手たちを駆り立てるのは、オリンピックが4年に一度の開催であり、選手人生において最初で最後になるかもしれない特別な舞台だからです。

選手たちの大会にかける想いと努力は計り知れません。
だからこそ、競技終わりの笑顔や涙、選手たちの一言一句は人々の心を揺さぶり、社会を大きく変えていきます。実際にオリンピック後、新競技で史上最年少のメダリストを生んだスケートボードや、競技として国内初のメダル獲得となったアーチェリーなどを始める人が増えていると聞き、オリンピックは若者に夢と希望を与えているのだと改めて実感しました。
スポーツの、目標に向かって諦めない心とそれを支えあう絆が、最も体現される場がオリンピックであり、メディアとしてその瞬間を視聴者に届ける喜びとやりがいは何事にも代えがたいです。

後編に続く ▶

(右)取材中の筆者

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