REPORT 現場リポート

New Yorkへは今は来ないでーーー!!!? ニューヨークカメラマン日記 Season2 Vol.7

2020.12.11
制作技術・報道技術

■ アメリカ大統領選挙
4年に一度の大統領を決める選挙。各党の代表を決め、州の選挙人をより多く取得した方が大統領になる。投票数が全てでは無いのも日本の選挙とは違う点。
私は今回の大統領選挙で、大きな争点となっている、黒人差別問題の抗議活動の発端となったミネソタ州ミネアポリスに現地入りしました。
閑静な住宅街に突如現れた「Road Closed(通行止め)の看板。
石のブロック塀で車の侵入を妨げており、周辺には「BLACK LIVES MATTER(警察の残虐行為をきっかけにアメリカで始まった人種差別抗議運動)の文字が家や庭先、電柱にも書かれていました。
約半年が経った今でも、その一帯は道路が封鎖され、徒歩でしか中に入ることができません。
道路にはこれまでに『黒人という理由だけで殺された』という数百人の名前が記され、現場に近付く一歩一歩に感慨深いものがありました。


私が訪れたのは事件から5カ月が経った、10月25日。気温はマイナス8度。
雪も混じる中でしたが、今でも多くの人がこの現場を訪れ、花を手向けていました。
大統領選挙はアメリカに住む人にとっては単なるイベントではなく、生きていくため、命の選択という意見を多く聞きました。
政権1つ変わることで住むところを奪われる人や、医療保険制度の変革で医療を十分に受けられなくなる場合もあり、以前取材したテキサス州の移民問題もその一つで、アメリカの選挙は一人一人の国民の生きる為の強い思いが伝わってきました。

取材を進めていく中で、住宅街の中にあるものを見つけました。
このエリアでの警察に対しての憎悪が感じられるものでした。それは・・・

住宅街の片隅に放置されていた1台のおもちゃのパトカー。
以前は子供の憧れでもあり、よく遊ばれていたおもちゃだったにも関わらず、今では誰も見向きもせず、遊ぶことも無くなり、壊され、草木も生茂り、処分されることも無くひっそりと置かれていました。

一部で行われている、略奪や暴徒化に対しても、黒人の命を奪うよりそれらの罪は軽い、取り返しが効くではないかとの意見も聞きました。
もちろん全員が全員そういう過激な意見ではないものの、少なからずそういった思いになるまで、憎しみの連鎖が続いているのは事実ですし、それは今回の大統領選の結果次第で直ぐには変わらないかもしれません。
それでも、その連鎖を断ち切る第一歩になって欲しいと切実な思いが現場では伝わってきました。


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