REPORT 現場リポート

New Yorkへ行きたいかー!!!? ニューヨークカメラマン日記 Season2 Vol.13

2023.05.11
制作技術・報道技術

 

■ ワールド・ベースボール・クラシック2023

日本を熱狂の渦に包んだ「ワールド・ベースボール・クラシック2023」をアメリカ・フロリダ州マイアミの現地で取材した。準々決勝からは、負けたら即敗退の一発勝負になる。取材班も負けたら撤収という流動的なスケジュールでの取材だった。報道班ということもあり、1つの番組向けの取材ではなく、日本テレビ系列全ての番組に向けての取材を行う事になった。そのため、選手団のマイアミ到着、試合前練習、対戦国情報、選手の食事内容、球場周辺の盛り上がりなど多岐に渡っての取材となった。

 


WBC決勝リーグの舞台となったローンデポ・パーク

試合中は、球場内での撮影が権利上できないので、球場周りでしか味わえない独特の雰囲気や試合のキーポイントを中心に、試合終了後の生中継で記者が臨場感のあるリポートできるように、試合状況を気にしながら取材にあたった。現地マイアミと日本の時差は13時間あるので日中は選手周りの取材、夜中は日本向けの生中継と、寝る暇も無いくらい過酷な現場であったものの、『日本の優勝』という歴史的瞬間に立ち会えたことは、この仕事の遣り甲斐でもあり醍醐味でもあった。

 


 

 

■ アメリカの歴史上、初めての出来事

全米メディアが速報でアメリカ史上初の大統領経験者の起訴を報じた。我々取材班は、別取材に出ていたが、急遽取材を切り上げてタクシーに飛び乗り、起訴状が出されたNYの司法当局前へ向かった。現場はすでに大勢のメディアでごった返しており、司法当局から出てくる地区検事のコメントを狙おうとフェンスにしがみついたり、工事用の足場に登ったりと騒然となっていて、アメリカでの注目度の高さを物語っていた。
 


足場に登って撮影するメディアも

起訴を受け、トランプ前大統領が裁判の行われるNYの裁判所に出廷する日が来た。
各メディアはトランプ前大統領が滞在しているフロリダのマル・ア・ラーゴから裁判所まで移動する道中の様子をこぞって生中継し、その一挙手一投足が全世界へと生配信された。

私はトランプ前大統領のNYでの滞在予定地である五番街のトランプタワー前で、その到着を待ち受けた。普段は沿道に集まった支持者などに手を振るなど、余裕を見せていたトランプ前大統領が、「起訴を受けてどういったパフォーマンスをするのか」「険しい表情なのか」「余裕のある表情なのか」「メラニア夫人の様子はどうなのか」など、様々な事を意識して撮影にあたった。また他のメディアとは違った独自性をどう表現していくのかを意識し、撮影方法も工夫した。

トランプタワー前のメディアの数は、これまでNYで経験した取材現場の中でも、群を抜いて多く、全世界のメディアが集結し、多言語が飛び交う現場となっていた。

元大統領ということもあり、警備状況は物々しく、全てのメディアが150メートル以上離れた場所からの撮影となった。空港からどういった手段やルートで来ることも知らされない為、現場の雰囲気やSPの様子を見て、数多くの到着パターンを想定する。ヘリコプターの可能性もあれば、車の場合だと信号を止めて一方通行を逆走してくることも容易に考えられる。車列の何台目のどっち側に座っているのか、また車列が到着した後も車から降りて扉に入るまでおおよそ10秒弱しかない。その短い一瞬をどの角度で狙ったら「1秒でも長く撮影できるか」「撮り逃しをどう避けるか」全て現場カメラマンの判断に委ねられるので、当然プレッシャーも掛かる。

上空のヘリコプターの音が近づくとともに、その時が訪れた。車内から沿道に手を振っている様子や車から降りた後も観衆に手を振るなど余裕を見せたトランプ前大統領の様子を撮影することができ、ホッと一安心しプレッシャーから解放された。しかし撮影後はいつも「もっと良いアングルは無かったのか」「もっとこうしていたら良かったのではないか」反省を重ねる。

 

長い車列にピンポイントで狙いを定める             裁判所に向かうトランプ前大統領

アメリカと日本では取材スタイルやルールなどは違うものの、どちらの経験も必ずカメラマンとしての成長に活きてくる。自身の経験から想定できるパターンが多ければ多いほど、そこから対策を練ることができ、あらゆる動きに対応できるようになる。今回は、過去の日本での経験を活かすことができた。今のアメリカでの経験も今後の取材に繋げていきたい。

 


 

 

■ 約3000キロ!!アメリカ横断鉄道

アメリカの国土は日本の約26倍もある。気候も土地の雰囲気も州によって大きく違う。限られたアメリカ生活の中でその国を、その広大な土地を自分の目で見て、肌で感じてみたいと思い、休日を利用してロサンゼルスからシカゴまでの約3000キロを約45時間かけて横断する鉄道の旅に出た。ロサンゼルスを夕方18時に出発し、翌々日の15時にシカゴに到着する2日間。新幹線とは違い最高速度は160キロ前後と、景色を堪能しながら進む。大都会のロサンゼルスを出てからは一面荒野が広がり、動植物も少なかったが、州が変わるにつれて景色や建造物にも変化が見られ、ロッキー山脈が南北を貫くコロラド州では豊かな自然が広がり感動を覚えた。列車に揺られながら2度の夕日と2度の日の出を迎えるという人生初の経験をした。

 

 

道中、隣の席の人も何回か入れ替わり、出会いと別れを繰り返す。終点のシカゴには約2時間遅れで到着し、約47時間の列車での旅を無事に終えた。
飛行機だと約4時間で済むが時間を掛けて列車でゆっくりとアメリカを横断できたのは、かけがえのない経験となった。人との出会いであったり、停車駅で販売されている物や食事やその土地の歴史であったり、様々な事を長い時間をかけて学び、その土地を直接、目と肌で感じることができた旅となった。

 


 

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