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「IP」 こんな使い方があります

2013.01.22 制作技術

昨年11月に制作技術センターに『IPグループ』という部署ができました。
早速その月にこのIP技術を使ったロケがあったので今回はそれをご紹介したいと思います。

そもそもIPとは何かと言いますと、Internet Protocolの略で、
インターネット通信を行う上での「約束事」を決めています。
ちょっと難しいので早速番組で紹介します!

今回の番組は12月8日に放送されたサタデーバリューフィーバー枠の
「怪盗100面相」という番組です。
「街に潜んだ怪盗団を探せ!賞金総額100万円...リアルかくれんぼバラエティー
▼超精密!あの大物が仰天特殊メイク...人に!?モノに!?あなたは何人発見できますか?」
というキャッチフレーズで
エリア内を変装したタレント(ターゲット)を見つけるという内容です。

そのタレントを追っかけている撮影カメラ映像を制作本部で見ながら、
現場制作に指示を出してゲーム進行をやりやすくするという事に使用しました。
音声(トランシーバー)だけの状況伝達より、映像が有る方が格段に伝わります。

エリアは東京ドーム約1.2個分の敷地面積x3階建てです。
もし、この広さを通常使っている映像伝送用機器(マイクロ)で行うとしたら、
 「大量な技術スタッフ(送信側2名x4CAM、受信側2名x21か所、センター3名 計53名!!)」
 「膨大な機材量(7tトラック1台分)」
と規模も費用も途轍もないものになってしまいます。

制作陣の要望は、放送品質ではなく(後で編集しますから)、
判別出来る程度でよく、小回りが利く軽い装備です。
今回行ったIP簡易伝送では「送信機は1Kg程度」。
カメラマン1人で持てて、撮影に支障が無い大きさのものです。

図式としては
 ・ 出先カメラ信号を携帯電話回線(パケット通信)に載せられ るようにデータ圧縮(H.264)して
   USTREAM(ユーストリーム)に「番組」として生放送 
   (カメラが4台あるので4番組。画質はそれなりですが出先の様子は問題無く判別できます。 
    もちろん出先カメラではテープを回していて、編集時にはこの素材を使えば品質はHD品質になります)。
 ・ 受信側はMacBook4台を使い、USTREAMの生放視聴出来るようにセットしました。
   (それとは別に監視用PCを1台用意し、出先側の回線を監視、設定を随時変更していました)

今回のシステムは、品質と制作要望のバランスも良く、無事に収録を終えることが出来ました。

諸々まとめますと
長所としては
  ○画質とのトレードオフとして機材量、人員が圧倒的に少なく済む。
  ○受信側で送信機の状態が確認でき、設定もリアルタイムに更新できるため、
   カメラマンの手を煩わす事無く、回線状態に応じて対応できる。
短所としては
  ○地上波生放送に使用するのは画質的に難しい。
    (今回は「ワンセグ放送」程度の画質しか出ませんでした)
  ○圧縮のため遅れが発生する。
    (今回はカメラで撮った映像が、Macに表示されるまで
     3秒~10秒位かかりました)
となりました。

監視・モニター用途として他の使用例を考えると
 ・(条件は有るが)国内、国外問わず簡易中継が、簡単に行える。
 ・受信側でのコントロールが可能なため、出先技術は最小限で済む
  (カメラマンが兼務出来る)。
 ・USTREAM、ニコニコ生放送等への生放送、番組提供も出来る。
  (USTREAM、ニコニコ生放送等では一度に多くの人が見られる。また視聴にはスマホ等でもOK)

このIPはまだまだ活用する範囲が広がるものと期待しています。