REPORT 現場リポート

入社2年目で見た東京パラリンピックの景色

2021.10.29
制作技術・報道技術

■ はじめに
こんにちは!制作技術部音声担当 入社2年目の冨樫です。

この夏、57年ぶりにオリンピック・パラリンピックが東京で開催されました。
今大会は新型コロナウイルスの感染拡大により一年延期、さらには無観客での開催と、異例ずくめの大会となりました。

そんな前代未聞の大会で、私はパラリンピックENG取材班として業務に臨みました。入社2年目の私にとって初めての大舞台。制限が多い環境下での取材に不安や戸惑いもありましたが、障がいがありながらも全身全霊で競技に臨む選手達の姿を見て多くの刺激を受けました。

今回はそんな東京パラリンピックENG取材班の業務について、「若手目線」でお伝えしていければと思います。

■ 国際大会ならではの光景
初めてのパラリンピック取材でまず驚いたことは「国際色の豊かさ」です。
東京での開催とはいえ、大会スタッフやメディア関係者は外国人だらけで、場所ひとつ聞くにも英語でのコミュニケーションが求められ一苦労しました。

英語が苦手な私は、片言の英語とボディランゲージでその場を凌いでいました…。

サッカーワールドカップなどの国際大会での取材経験がない私にとって、初めての光景でとても驚きました。
毎回競技会場の検問ゲートをくぐると異国にいるような気分にさせられました。

■ ENG取材班の業務
ENG取材班の業務は、スポーツニュースで使用する競技や選手インタビュー等の素材を収録することです。ENGは中継とは違って少人数で業務を行うのが特徴で、今回のパラリンピックではカメラマン1名、音声兼カメラアシスタント 1名、制作1〜2名で取材を行いました。

今大会は新型コロナウイルス感染予防対策のために、毎日の体調報告や、週に2度のPCR検査をはじめ、各競技取材できる民放は1社のみ、選手インタビューを行うミックスゾーンの人数制限など、私達メディア関係者にも厳しいルールや制限が多く設けられました。

私はコロナ禍での取材しか経験していませんが、ここまで多くの制限がある取材は初めてでした。今大会はいつにも増して選手、関係者共にコロナに対する緊張感を強く感じました。

 

■ インタビューの音が録れない!?
音声として最も苦難を強いられたのが、選手インタビューです。選手インタビューは競技を終えたばかりの選手に直接話が聞ける貴重な機会です。せっかく良い画が撮れていても、音をしっかり拾えていなければ台無しです。

今大会では密を避けるために、ミックスゾーンに入れる人数が1クルー2名までと制限されたため、その2名は自ずとカメラマンと聞き手であるディレクターまたはアナウンサーとなり、音声担当はゾーン中に入ることができなかったのです。

そのため事前にスタンドにガンマイクを立て、インタビュー中は退出することで対応しました。

一発勝負で失敗は許されないので、事前に選手の口元の位置を予想し、芯のある音が録れるように入念に準備しました。音声として非常にもどかしさはありましたが、ルールがある以上、最善の良い音が録れるように気を使いました。


ミックスゾーンでのマイクセッティング

■ パラリンピックの意義
正直なところ私はこれまでパラリンピックをほとんど目にしてきませんでした。しかし今回、初めてのパラリンピック取材を通して、自分の想像を超える熱狂、感動を目の当たりにしました。
障がいがあるにも関わらず、それを忘れてしまうほどの熱いプレーを見せる選手。涙を流し支えてくれた人への感謝を語る選手の姿を間近で見て、パラスポーツの魅力や存在意義を肌で感じました。

私達はパラアスリートからのメッセージを受け取り、障がい者とどう共生するかを考えることが大切なのではないかと感じました。

■ 最後に
コロナ禍で開催されたパラリンピック。開催が1年延期される中で選手達も不安や葛藤でいっぱいだったと思います。そんな逆境の中で戦う選手達の姿を見て、パラスポーツのもたらす熱狂や感動、パラリンピックの意義を肌で感じました。それと同時に私達の責務はテレビを通してそれを伝え、人々に勇気や希望を与えることなのだと実感しました。

自国開催のパラリンピックという一世一代のイベントにこうして若手ながら参加させてもらえたことに感謝し、ここで感じたことや学んだことを忘れずに、これからもスポーツのもたらす熱狂や感動をテレビ越しにお届けできればと思います。


筆者

 

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