REPORT 現場リポート

番組をイチから作る面白さ

2021.04.07
ポスプロ技術・報道編集

今回は、日本テレビの次なる大ヒット番組を狙い、次々と新企画を届ける「サンバリュ」枠で放送され、とても好評だった
「止まったままの人生時計が動き出す~1時間後に初告白します~ 」(2021年2月28日放送)という番組を担当した編集チーム3人による、「制作リポート」をお送りします!


「サンバリュ」は、【日本テレビの番組スタッフが新たな番組を持つべく、面白い企画を持ち込み、放送する】という趣旨の番組枠です。新たな番組作りということもあり、企画・構成・画面デザインなど、制作・編集スタッフ協力のもと、一から作り上げていかなくてはなりません!
今回はその中の“編集”に焦点を当て、担当した3人の各々の視点から、新番組を担当した際の、制作担当者へのアプローチの仕方をポイント解説でお伝えします!
作業はエディターとテロップデザイナー二人で進めます。

その前に、編集って皆さんどんな作業か知っていますか?? 画、音を繋いでいくのが編集です。
「誰でも知ってるよー」という声が聞こえてきそうですが、私たちが所属しているポスプロ技術部では、画、音については制作担当者さんが繋いでくることが多いのです!
NiTRoのSHIODOME19BOX、POSTPRODUTION CENTERでは制作担当者さんが繋いできた素材の映像加工やテロップ入れ作業がメインとなってきています。
今回はその加工やテロップについて書きます!

■ 大変だけどおもしろい⁉決まったカタチ『定型』作り
番組全体の世界観を作るためには、最初に画面加工やテロップデザイン等の「方向性」を決めていかなくてはなりません。その際に“何を参考”にして“イメージ”を作り上げていくか?ヒントを探して色々と試行錯誤して、いわゆる番組の決まりのカタチ『定型』を作っていきます。これが一番大変な作業ですが一番おもしろい作業でもあります!

■ どのように番組の決まりのカタチ定型を作っていくの?
今回の番組では企画内容が
【人生で抱え続けた自責や後悔。胸につかえたモヤモヤを晴らし、人生時計の針を動かしたい人の「60分前」から密着し、想いを伝えたい人との「再会~初告白」までをカウントダウンするドキュメンタリー番組】
というものでした。そこで番組の見せ方や決まり事などディレクターの演出意図に沿いながら、必要なテロップの部品や飾り、写真の背景などにいれるベース画面、さらにCGなどを使った画面加工などを作っていきます。

今回、定型作りにあたって参考にしたのが番組タイトルロゴとCGです。


番組タイトルロゴ


番組CG

この番組タイトルロゴとCGはディレクターが事前にCGデザイナーに依頼して制作したもので、その世界観を番組全体のテイスト・デザインに落とし込んでいきました。
ロゴデザインから『懐中時計』『時間』といったテーマをピックアップして、テロップデザインや動きなどを作っていきます。

■ 番組の統一感を出すポイントはテロップ⁉
特番や新番組ではまず「定型テロップ」と呼ばれる番組内で使用するテロップのデザインを決めます。
名前テロップや場所テロップ、背景画像などよく使う素材は、いろいろなデザインが混在してしまうと番組全体がごちゃごちゃしてしまいます。
そのため、「定型テロップ」を作ることは番組の雰囲気をまとめる重要なポイントになります。

■ デザインを考えるときに重要なこと
定型テロップのデザインを作るときは、「番組のテイストに合っているか」を大切にしています。
今回の話をいただいた当初は「スポーツのドキュメンタリー番組」と聞いていたので、『ドキュメンタリーなら静かな雰囲気かな・・・』と思い、デザインを考えていました。
その後、念のため番組ロゴがあれば事前に見せてほしいとディレクターに相談したのですが、受け取ったものは想像していたイメージとは180度異なった、「ゴージャスでポップな印象」の番組ロゴだったのです。
そこで、それまでに考えていた定型テロップをすべて忘れて、1から考え直しです。

まずは番組ロゴをよく観察するところから始めました。


今回は「時計」がキーワードになっているので、【懐中時計】【歯車】【時計の針】などがデザインの中心になります。そのほかに色は赤か金、質感は金属か木目など番組ロゴから読み取れるものを定型テロップに取り入れていきます。

そうして作成したものがこちら!

 
名前テロップ              場所テロップ


写真を載せる背景画像

文字はテロップ作成用のVWSというソフトで打ち込みますが、そのほかの装飾はPhotoshopやIllustratorといったソフトで作成しています。これらのデザインをディレクターにチェックしてもらい、修正を加えながら完成させます。

編集にあたっては、事前打ち合わせなどが出来ないことも多く、編集開始のタイミングでデザインを考え始めるため、これらの素材を短時間で作らなくてはなりません。
そのため、観察力やひらめきだけでなく作成のスピードも重要になってきます。
頭をフル回転させるため大変ではありますが、ディレクターに好まれ、エディターに自分が作ったテロップを格好よく合成してもらえた時は本当に頑張ってよかったと思います。

今回はテロップ、加工に焦点を当て書いてみました。いかがでしたか?

私はよく編集を絵画に例えます。
「画音を繋げる」絵描き、その「絵描きが描いた作品を どんな額縁に入れ、どんな場所に飾るかを考え よりいい絵に見せるかの仕事」が今回の加工やテロップ入れだと思っています。
表現の工夫によって番組の印象がとても変わります。答えは一つではありません。
視聴者にわかりやすく、面白い、しっかり作品のコンセプトが伝わるより良い描写、表現が出来るよう日々勉強中です。
そして、このリポートを見てくれた方に少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。

筆者

 
エディターA               エディターBとテロップデザイナー

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