REPORT 現場リポート

入社2年目、岩手・東日本大震災10年目の海を潜る

2021.03.31
制作技術・報道技術

■ 入社2年目で企画した水中班取材
私は入社2年目、報道技術センター取材技術部で、VE(ビデオエンジニア)として、音声・照明などの業務を主に行っています。また取材技術部では「水中班」に所属していています。

水中班では東日本大震災直後から、津波の被害を受けた地域の海に潜り、その変化を継続的に取材してきています。今回は3・11震災関連で “10年目の海を潜る” という企画取材で、被災から10年を迎えた岩手県・大船渡の海でボランティアとして活動しているダイバーを紹介したものです。

今の職場は年次に関係なくやりたいことをやれるチャンスを与えてくれる環境にあります。今回は先輩方の力を借りつつ、企画発案から取材、OAまで様々なことに挑戦させていただきました。


事前打合せの様子(左端が筆者)

■ 初めて潜る被災地の海、2月の水温は、特殊な装備で挑む極寒の海でした
2月の岩手県大船渡市の海は、水温7度。寒冷地にダイビングする場合は、「ドライスーツ」という特殊なスーツが必要になります。今までドライスーツは数回しか使用したことがなかったので、「どうやったらうまく潜れるのか」シミュレーションを重ねました。

コロナ渦の出張取材は必要性を慎重に検討した上で、PCR検査をうけてから現地に赴く事になります。
しかも取材は海の状況に左右されるため、撮影は一発勝負でした。

タイトな取材スケジュールの中、先輩からの「ボランティア活動しているダイバーに迷惑をかけては取材の意味がない」と言葉をかけられ、こちらの都合だけで取材する事はいいのかというプレッシャーで潰れそうでした。
その様な状況でも大きな水中カメラを持たせてもらい、撮影も少し任され「海のゆりかご」と呼ばれる海藻「アマモ」、稚魚やイカにフグなど、多様な生物を撮影する事が出来ました。

 

特に体長80cmのマダラが、豊かな海に産卵に来ている様子など、10年目の海には「豊かな生物」が溢れかえっており、自然の逞しさに感動しました
この嬉しいニュースを伝えることで、誰かの力になる。取材で潜る意義を見いだせた瞬間でした。

■「震災遺構」
震災から10年経ちましたが、今でも津波で流されたものが海底に残っています。
その一つが防潮堤です。津波の引き波によって破壊された大船渡市の防潮堤の一部が、水深16mの海底に沈んでいました。
流されたものを引き上げる活動を続けているボランティアダイバーの方が、「防波堤は震災遺構として、海に残して後世に伝えたい」と、案内をしていただきました。津波の恐怖を風化させないために、残すことも大事だと思うようになったとダイバーの方は言います。

私はその事実を多くの方に伝えることに使命感を感じました。「震災を風化させない」取り組みをテレビ局は行っています。その一端を担っていることに、自分が担当している仕事の責任の重さを感じる取材でした。

■ 今回の取材を通して
私は入社一年目から水中班に所属し、潜水士免許の取得、ダイビングスキル習得のために定期的に訓練にも参加してきました。
日本テレビには「伝えたいことを企画して、取材して、放送する」ことをサポートしてくださる先輩方がいます。私の今の仕事はVEですが、今後報道カメラマンとして、その時代・瞬間を記録し、伝えることで社会に貢献する仕事を今後も続けていきたいと思います。


筆者

実際の放送は下記URLからご覧ください!
https://www.news24.jp/articles/2021/03/08/07835916.html

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