REPORT 現場リポート

さらに向こうへ ~映像の最先端~ 第2部『12K!!? 海中360度VR映像』

2021.05.17
ポスプロ技術・報道編集

『NiTRo SHIBUYAって一体どんな業務をしているところなの?』
そんな疑問に少しでもお応えできるように「映像に携わる仕事がしたい!」と思っているみなさんに昨今のポスプロ現場事情を自分の体験談をもとにお送りしたいと思います。


NiTRoの正式社名は「日テレ・テクニカル・リソーシズ」。
会社名に“日テレ”が入っているので日本テレビに関わる番組を作っている会社!という印象があるのではないかと思います。
しかしNiTRo SHIBUYAでは主に他局の4K、8K編集、ドラマや舞台、デジタルリマスター、ネット配信動画、商業施設用動画など多種多様なコンテンツを扱っていると共に最新の技術を活かしたポスプロ業務も日々行っています。


そこで、最近実際に携わったポスプロ業務を3回に分けて紹介したいと思います。

 第1部 『デジタルリマスターの世界』
 第2部 『12K!!? 海中360度VR映像』
 第3部 『ピアニスト辻井伸行のグレーディング~貴重!生演奏体験~』

今回は第2部 『12K!!? 海中360度VR映像』です。


 

『12K!!? 海中360度VR映像』

この業務は、ある施設に設置された「360度VR」用の水中映像をグレーディングする案件でした。

はじめに案件を聞いて驚いたのは12Kという解像度!
さすがに12K相当の作業をしたことがなかったので『12Kってpixel数なんぼ!?』ってなりました。HDが1920…4Kが3840…8Kが7680…12K…って
12Kは(横)11520×(縦)6480 で、総pixel数は一般的なHD画面の36倍にもなります。(実際の作業は16:9ではなく2:1の作業のため11520×5760)

もちろん12Kサイズのモニターは存在しないので、素材解像度の12Kをダウンコンバートして出力し、4K用モニターで作業しました。
撮影は水中用に完全防水された球体にGoProを10台取り付けたという、日本に1台しかない特殊なカメラを使用して撮影されたそうです。


(出典:NHKエンタープライズ 高画質水中VRカメラシステムの開発[2019年度 NHKエンタープライズ開発案件]より引用)
https://www.nhk-ep.co.jp/nep-development-proposal-1/

グレーディング時には撮影された海中全体の映像を見ながら作業したかったので、360度映像を平面に展開しました。
やはり12K映像ということで最新のMacProですら普通に再生できず、コマ落ちしてしまいます。いや、逆に考えれば最新のMacProだからこそ作業できたと思います。


実際の作業環境


編集作業にはディレクターと水中撮影を担当したカメラマンが同席して作業を進めていきます。
僕は現場に行って水中に潜った訳ではないので、二人の意見を聞きながら海の中の輝度や透明度、そしてサンゴ礁、岩肌などを現実の色味に再現していきます。水深によって光源も変わってくるので輝度や彩度、水中の奥行き感などを実際に見た質感と合わせていかなければなりません。水中は色被りが酷く様々な調整を複数重ねて水面、サンゴ礁、海底などモチーフをそれぞれ分解して色調整していかなければならず非常にシビアな調整を要しました。


1カットで使用したノード(調整工程)


Before                                          After


最後は納品するファイルに書き出す作業になりますが、レンダリングするのに実時間の5倍かかりました。書き出し完了までの残り時間を示すバーが全く動かず焦ります。
さらに書き出し中にMacProが耐えられなくなり、PCごとシャットダウンするトラブルが何度かありました。顔面蒼白。
PCが『もう限界!ムリ!』と悲鳴を上げているようでした。
『頑張ってMacちゃん、お願いします』と祈るように書き出しボタンをクリック
何とか無事に書き出しを終えることが出来ました。『ありがとうMacちゃん』
いくら機械であろうが優しく扱わないと嫌われると、先輩に言われましたことを思い出しました。
そのため僕は普段からキーボードも優しくタッチします。

■ 初めての試み!?

12K VR映像を扱った仕事なんて日本でも例がないと制作スタッフの方が仰っていました。世界中、探しても数えるほどしかないんじゃないかと。
360度12K VRに携わった制作・技術スタッフは皆はじめての試みであり、そんな実験的でチャレンジングな仕事に携われてとてもいい経験になりました。技術会社として現状の枠に収まらず、最先端の映像コンテンツを扱えることはNiTRoの魅力のひとつなのではないかと思います。


ちなみに弊社も12K撮影可能なBlackmagic Design社のカメラを所有しています。12288x6480(17:9)の解像度で60fpsまでの撮影が可能。
8Kでは110fps、そして4Kスーパー16では220fpsまで撮影できます。

「Blackmagic URSA Mini Pro 12K」
(出典:Blackmagic Design公式HPより引用)
https://www.blackmagicdesign.com/jp/media/release/20200716-01

 


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