REPORT 現場リポート
山岳訓練「何よりも安全第一」
NiTRoの報道業務の中でも特殊な山岳取材班。とは言っても、山岳取材のみを行っているわけではなく、普段は報道の取材・中継業務を行っています。
山岳取材は専門的な知識や技術を必要とするため、定期的に訓練をして山岳地域での事件・事故、自然災害取材に備えています。今回の訓練場所は富山県の立山連峰 特別天然記念物で絶滅危惧種の雷鳥が生息することでも有名な場所です。
富山県 立山連峰
初日はガイドから山岳装備のレクチャーを受け、ロープワークの訓練です。普通の生活では触ることもない特殊な山岳装備には四苦八苦。初参加の人もロープのみで垂直に登る訓練に続々挑戦しました。
標高の高い山や、危険な場所での取材・中継を行うこともある山岳班。特殊な山岳技術や知識が必要とされることも多々あります。このような訓練の積み重ねが自分達の命を守り、山岳班の活動を支えています。
初めて触る山岳装備で次々と挑戦
2日目は実際に立山連峰に登り訓練です。簡単な撮影も兼ねてカメラやドローンをザックに詰め込み準備は万端でしたが、天候が悪くなる予報が出てきました。そのため、当初のルートを変更して登山を開始しました。訓練を行った10月上旬に東京では季節外れの真夏日を記録しましたが、立山の麓は半袖だと肌寒いほどでした。
登山開始
登り始めは快適だったものの、急変するのが山の天気。目的地に着く前に雨風が強くなり、段々と過酷な登山へと変わっていきました。寒さと雨風に耐えながら登り続けてなんとか稜線にたどり着くも雨風は強くなるばかり。安全のためにドローン飛行は控え、急いで山荘に戻ることになりました。
本来であれば山のきれいな景色や、ドローン映像を紹介したかったのですが、泣く泣く下山しました。
山岳取材は天候との戦いでもあります。目的地が目の前でも、重要な撮影シーンでも危険な状況では即撤退が大原則です。実際に「取材を続けたい。」という思いを我慢して下山した悔しい経験が何度もあります。しかし、その判断のおかげで今も安全に山岳取材を続けることができ、感動的な景色やシーンに何度も遭遇してきました。
最終日、山荘のすぐそばに雷鳥が横切っていました!登山中、どんなに探しても姿を表さなかった希少な鳥とまさかの場所での遭遇です。
宿泊先の目の前に雷鳥が
天候による中断で悔しい思いをしましたが、事故なく無事に下山できたからこそ雷鳥と出会えたのだと山に感謝しました!
筆者