REPORT 現場リポート

試行錯誤 at ワシントンD.C.

2021.04.28
制作技術・報道技術

■ TVで観ていただけましたか?
菅総理大臣が就任後初めてアメリカを訪問し、ホワイトハウスでバイデン大統領と対面で首脳会談を行いました。
総理同行取材は、コロナ禍前からNHKと民放による代表撮影方式を採用しているのですが、コロナ禍のいま、菅総理のアメリカ訪問取材では、通常の外遊取材よりも少人数で行うとともに、アメリカ現地での滞在時間が約39時間という最小限の時間配分の中、通常通りにはいかない同行取材が行われたのでした。

■ 出発前から緊張の連続
私は普段から、不要不急の外出はせず、新型コロナウィルスに感染しないよう、気をつけて生活していたものの、出発前のPCR検査を受けるたびに、「まさか感染していないよな?」と心配になりました。
無事現地に着いたとしても、代われる人のいない日本側の代表撮影です。もし体調不良になってしまったり、私が失敗したりすれば、日本側の映像が無くなってしまう・・。考えただけでも怖かったです。

■ 政府専用機でワシントンD.C.へ
出発までの不安をよそに、あっという間に出発当日となり、政府専用機に乗り羽田空港から約13時間のフライトです。
到着はワシントンD.C.郊外にあるアンドルーズ空軍基地。
シートベルト着用サインが消えたら、使っていた枕をゆっくり片付け…なんてことはしていられません。日本テレビのクルーが、菅総理が政府専用機を降りるシーンを撮影するのです。
他社のクルーに助けてもらいながら急いでタラップを降り、同じ専用機に乗っている総理よりも早く取材ポイントへ向かわなければなりません。もちろんダッシュです!
総理が降りてきてしまうのではないかとヒヤヒヤでしたが、無事撮影できました。

■ ホワイトハウスでの取材
日本の総理官邸取材では、時間や場所、取材できる内容についても、わかりやすく取材設定をしてくれるのですが、今回のホワイトハウス取材では当日になっても大まかな情報しか聞かされていませんでした。しかしアメリカメディアはさすがに慣れた様子で談笑しています。その傍らで私は緊張しながら「菅総理の表情は?」「両首脳はなにを発言する?」「どこから撮影できる?」など、いろんなことを考えていました。
結局、ホワイトハウスのどこか(オーバルオフィス?)で行われた、日米首脳1対1での会談の撮影は許されませんでしたが、日米首脳会談拡大会合は撮影が許可され、アメリカメディアと争いながら撮影ポジションを確保し、両首脳が対面で話している姿をそこで初めて撮影することが出来ました。
毎日のように菅総理を撮影している私は、菅総理が少しばかり緊張しているように感じました。会談冒頭の10分ほどでマスコミは退出。日本から約10,000km移動してきて、やっと撮れた場面でした。

 

菅総理とバイデン大統領が初めて対面で会談する今回のアメリカ訪問。何回も検査を受けたり、なんらかの制約があったりと、取材制限が多く苦労しましたが、歴史的な会談を撮影することができて、「カメラマンをやっていてよかったな~」と思う瞬間でした。

■ 帰国して自主隔離
帰国してからは、同行記者のほとんどが14日間の自主隔離に入りました。
もちろん私も自宅に籠もり、外に出たい気持ちは抑えてこのリポートを書いています。
外は快晴。
一日でも早くコロナ禍が収束して、これまで通り、気軽に海外旅行が出来る環境になれば、またアメリカを訪れてハンバーガーを食べたいです。


全力ダッシュ後の筆者
 

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