REPORT 現場リポート

報道編集というお仕事

2024.01.01
ポスプロ技術・報道編集

今回の現場リポートは、これを読んでいるみなさんが、もしNiTRo CV運用部(報道編集部門)に配属された場合、「報道編集で必要なスキルをどのように習得しているのか」「私たちがどのように育成を行っているのか」について、CVセンター(日本テレビ・報道編集)教育担当の私がお伝えします。
 

まずは簡単に私の自己紹介をします。
2001年に入社、地上波マスターに6年、CVセンターに16年間勤務しています。
16年間報道編集の仕事を続け、VTRを作る仕事は楽しさや難しさなど色々と葛藤はありますが、自分の編集したものが全国にオンエアー(以下OA)され、何千何百万人の人に視聴されるやりがいを感じる反面、テレビ(映像)の影響力はまだまだ大きく、自分が編集した映像で人の人生を左右してしまう可能性も秘めている責任重大な仕事だと感じています。

 

■ 皆さんは“報道編集”という言葉を聞いて何をイメージされますか?

報道編集とは『ニュース番組で放送するVTR編集』のことです。テレビ業界の編集と聞くと、ドラマやバラエティー番組をイメージする方が多いかもしれませんが、CVセンターでは報道編集業務を主に行っている部署なのです。


*CVセンター/CV運用部の詳細については、過去の現場リポートも参照してください。

現場リポート一覧|NiTRo|株式会社日テレ・テクニカル・リソーシズ

 

 
CVセンター・編集ブースと編集機


ニュース番組の中にも、ニュース・スポーツ・エンタメなど・・・たくさんのジャンルの編集があります。
これらのジャンルの編集を編集経験が全くない人でも出来るようになるまで、基本的なことから指導するのが教育担当の役目です。


■ 編集を覚えるまで

CVセンターに配属された新入社員(以下:新人)は、報道編集を覚えてもらうために日々研修をしてもらっています。ビル火災や高速道路で玉突き事故など事件・事故やスポーツまで、実際にOAで使用している素材を使って研修をしています。
私が新人に教えるときは、「桜開花」や「暑い」など何か1つテーマを決めてそれに沿って編集をしてもらい、新人が編集したVTRを見て「こういう画を選んだほうがいい」「こうつないだほうが視聴者はわかりやすい」など、単に編集してもらうだけでなくフィードバックもしっかり行うことで、編集で大切な“画のつなぎ”を教えています。
大切なのは“考える”ことです。
全くニュースを知らない視聴者に理解してもらうために、どうしたらいいかを常に考え、「素材に画がないから編集が上手く繋げない」「テロップ処理に頼る」のではなく、画でわからせる(伝える)つなぎ(編集)を教えています。
また、こちらから一方的に話すだけではなく、新人の意見や考えを聞くことも私たち教育担当は大切にしています。新人がどういう意図で編集したのかを聞き、私自身も実際に同じ素材で編集し見せることで、「なぜこうつなぐのか」「なぜこうしたら見やすくなるのか」を説明しています。これを繰り返しながら編集を覚えてもらいます。
 

  
編集ブースでの指導風景




■ 研修とは違うオンエアー(OA)

CVセンターでは新人がOA編集をするとき、私たち教育担当は常に側で見守り、困っていることがあればすぐにフォローに入れる体制をとっています。編集時間も永遠にあるわけではないので、OAする時間までに仕上げなければ放送事故に繋がります。
まだ業務に慣れていない新人に最初から全てを任せっきりにせず、OA前には教育担当が新人のつないだVTRのチェックを行い、問題がないか確認してからOAします。
そして、OA終了後にはつないだVTRについて新人と一緒に反省会をして、また次の編集に活かします。その繰り返しをすることで少しずつ上達していきます。
個人差はありますが、早ければCVセンターに配属されてから4ヶ月~5ヶ月でOAデビューすることができます。これはNiTRoの他の部署と比べると早い方だと思います。

 


近くで見守る教育担当



■ 新人の進捗状況の共有

皆さんは今まで新しい環境や生活に身を置くとき、やる気や期待などと同時に様々な不安や心配事があるかと思います。そんな不安や心配などを相談出来る10人の教育担当がCVセンターにはいます。CVセンターは24時間・365日稼働している部署ですが、新人がどの曜日に出社しても教育担当全員でバックアップできる環境を整えています。また、新人が現在どれくらいスキルアップしたのか、各新人の業務習得状況をメールやTeamsを活用して教育担当者同士で情報共有を行うことで、全員が現在の新人の状況を把握しています。
そして、実際に『業務報告』と『スキルチェックシート』というものを使って、自分自身のスキルを見える化し、新人の育成を行っています。


スキルチェックシート



■ “答え”がない面白さ

報道編集では取材・撮影してきた素材を使い、一からVTRを作り上げ完成させます。毎日取り扱うニュースは使う素材も毎回異なり、『こうすれば正解』といった“答え”はありません。例えば、10人が同じ素材で編集をすると10人とも違う画のつなぎになり、同じVTRは1つもありません。「答えがないものをどう教えるのか」人によって画のつなぎが違ってもニュースを伝えるには、そのニュースの“軸”というものがあります。そのからズレなければ、それぞれ違うつなぎ方をしても見てくれる視聴者に正しく伝えることができます。
答えがないから考え悩みますが、答えがないからこそ自由な発想と表現で自分なりの答えを出すことが出来ることも報道編集の面白い部分です。それらを実現できるのが報道編集であり、CVセンターという部署です。

 

■ ある日の出来事

私がこのリポートを書き始める少し前に、ある企画編集を担当していたのですが、その時、
一緒に仕事をした記者の方に言われた言葉があります。「この間の企画編集ありがとう!放送のあとに取材先の方から日本テレビのVTRが一番わかりやすくて良かったって言われたよ」と言ってもらえたことです。自分の考えや自分で選んだ画を記者やディレクターと意見交換しながらVTRに反映させて、一つの作品として完成させます。自分が編集したVTRがOAされたあとは、頑張って良かったと思える瞬間ですし、一緒に仕事をした人達から感謝され喜んで貰えるのはとても嬉しいです。


著者

■ 最後に・・・

教える立場になり、新人と接していると新しいことに気づかされ発見をすることもあり、私が教わっているような気分にもなります。「まだまだ学ぶことがあるんだなぁ」と思いながらどっちが教育担当か分かりません(笑)。
皆さんはこれから(現在?!)就職活動をされていくなかで、このリポートを読んで報道編集という仕事があることを知ってもらえたなら幸いです。CVセンターでは新人を迎え入れる環境が整っています。その時々の状況や変化に応じて我々教育担当が全面的にバックアップしていきますので、今回興味を持っていただいた皆さんと一緒に仕事ができる日を楽しみにしています。

 

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