REPORT 現場リポート

MAミキサーになって

2018.05.02
ポスプロ技術・報道編集

■ MAって何をするの?
私が担当する「MA」作業は、テレビ番組やCM、WEB配信など、様々な映像の音を扱っている仕事です。編集作業を終えた映像データと収録したままの音声素材を受け取り、皆さんが普段テレビで見ている状態に音を仕上げていく仕事です。

野外で収録した音声素材は、そのままの状態では風の音などの環境音で出演者の声が聞き取りにくい場合があります。またスタジオで収録した素材でも、出演者全員が一斉に話していると、何を言っているのか、全く聞き取れません。そういった音を編集して聞きやすくしなければ、皆さんがいつも見ている番組にはなりません。

もう一つ、ナレーションを収録するのもMAの大事な仕事です。MAスタジオには隣にナレーションブースがあります。その部屋ではアナウンサーさんや声優さんの音を収録します。


MAスタジオ内部


ナレーションブース

また、テレビ番組にはバックに流れる音楽や「キラーン」「ババーン」といった効果音がついていると思います。それは「音響効果」という職人さんの仕事です。このシーンにはどのような音楽を加えると視聴者に出演者の感情が伝わるのか、あの動きにはどのような効果音が自然に聞こえるか...など、様々なシチュエーションの音楽や効果音を選んでくれます。

それら素材の音声・ナレーション・音楽・効果音、それぞれの音をまとめて、全部の音がバランス良く聞き取れるようにMIXと呼ばれる調整をするのがMAの仕事です。

■ やりがい
「全部の音がバランス良く聞き取れるように調整していくのがMAの仕事」と述べましたが、例えばアスリートが活躍した試合を伝える番組で、勝つ瞬間にはテンションが高まる音楽が重なり、音楽の音量を目一杯上げたい!と思います。そのアスリートが感極まって泣いているシーンでは、自分も泣きそうになりながら音声を一番聞こえるようにMIXしたい!と思います。

このように、全く違うジャンルの色々な映像作品に携わるので、私自身が日々それらの作品に感情移入しています。その気持ちのありのままを皆さんに伝えることができるのがMAです。もちろん、番組を一から作っているのは制作スタッフの方々なので、演出の想いを音でカタチにすることも大切です。そこにプラスアルファで僕の想いを映像に反映させたい!と思います。

些細な力ですが、一からものを作ることが苦手な僕が、作品の演出に少しでもお手伝いできると思えることが、私のやりがいになっているのだと思います。

■ 大変なことも
「音の演出」は、目に見えないモノです。自分の想いだけで気分良くやっても、全員が良いと思える音になるとは限りません。先輩に貴重なアドバイスをもらっても、それを自分で再現することはなかなか難しいと感じます。
「正解」が何かを見つけることがとても大変です。日々、テレビを観るときには音を意識し、MAスタジオで試行錯誤を繰り返し、少しでも先輩たちのような「正解」に近づけるよう頑張るしかないと思います。

■ 5年目になって
私はMAに配属されて2年目でミキサー兼アシスタントとなりました。アシスタントの役割は、音声の編集やナレーションをパソコンに収録したりなど、MIXの前段階の作業をします。そして現在は、ミキサーとして仕事をしています。

担当できる番組も増えてきて、責任も大きくなり、やりたい仕事がだんだん出来るようになりました。バラエティを得意とする先輩や、ドキュメンタリー系が得意な先輩など、いろんな先輩に教えてもらえる環境は、自分にとってとてもありがたいです。

自分が感じる「やりがい」や「ぶち当たる壁」は変わりませんが、日々経験を重ねていくと、「悩むポイント」が徐々にスキルアップしている事を実感しています。
しかし一歩進めたと思ったら、二歩下がってしまうことも多々ありつつ・・・。いろいろとありながらも、先輩たちの声援に助けられ5年目になりました。今後はあまり後退することなく、前進あるのみで進んでいきたいと思います!


筆者

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