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クラウド活用が本格化しているコンテンツ制作の現場

2022.11.15
ポスプロ技術・報道編集

メディアコンテンツを制作する業界においては、数年前からクラウド活用が広まりつつあります。
特にコロナ禍が長期化している昨今では、在宅での作業環境は必要不可欠となっており、ポスプロのクラウド普及に拍車をかけています。
そんな中、クラウド上のインスタンスを利用して編集する環境は比較的容易に構築できますが、それを業務として利用するにはセキュリティ面が重要となります。放送前の素材を漏洩させない事は勿論ですし、誰がいつアクセスし作業したのか、といった作業履歴の管理も重要です。

これらの課題を解決し、在宅を含め場所に縛られないクラウド編集を実現するために、NiTRoでは株式会社朋栄が提供している「ceacaa」を採用しました。
「ceacaa」はAdobe Premiereなど様々なアプリケーションをクラウド上で動作させるコンソール機能のシステムで、クラウドのメリットとなる端末数・作業場所・記録容量に縛られないフレキシブルな制作ワークフローを構築できます。
さらにログイン時の多要素認証や通信経路の暗号化により、高いセキュリティを確保できることも大きな特徴です。
そこで今回は、NiTRoポスプロにおけるクラウド活用実例を2件ご紹介します。


 

■ 事例① 「ぶらり途中下車の旅」
(日本テレビ 関東ローカル 毎週土曜 午前9時25分~10時30分 放送)

撮影された素材はオンプレのサーバーにインジェストしますが、併せてクラウドへもアップロードします。
オフライン編集は在宅でクラウド上の素材を下見、編集していきます。
追加の撮影があれば都度アップするので、編集マンは出社することなく、最新の素材で作業ができます。
オフラインの最終段階になるとオンプレに移り、ディレクターとコミュニケーションを取りながら完成度を上げていきます。

働く場所の自由度を広げながらも、オンプレと遜色ない素材へのアクセス機能、高速VDI表示、低遅延の操作感は、作業に集中できると編集マンから高い評価を得ています。


 

■ 事例② 「配信用セミナー」

 
こちらは配信用の案件で、オフライン編集とオンライン編集は分業ではなく、流れの中で同じ編集マンが作業します。
制作担当者から事前に指示を受けて白素材(テロップなし)までを編集し、その段階で制作担当者が確認をします。修正の指示があれば再編集をして再度チェック。OKが出たらテロップを入れて完成版を作り、最終チェックのやり取りをします。
通常の番組制作と異なるのは、限られた時間で多くの本数を作業する必要があるため、複数の編集を並行して作業することです。
その時々で必要な編集の数は増減しますし、素材は編集マンのほか制作も含め全体で共有し、制作チェックをスピーディーに行う必要があります。
オンプレでは突発的に編集の数は増やすことができず、編集室の数には限度もあります。また制作チェックのために外付けストレージへ素材をコピーする作業は多くの時間が掛かり、それを制作まで届けることを考えると、さらに時間的なロスが発生します。

このような案件こそクラウドの出番です。
必要な時に必要な分だけ編集リソースを増減でき、多くのユーザーが一元管理するストレージにアクセスし並行作業で編集できます。また制作チェックで仕上がりを確認する際は、物理的にブリッジメディアを運搬することはなくクラウド上で試写ができるのでレスポンスが早く、非常に効率的なフローが実現できます。

オンプレ設備では初期投資やメンテナンス、リプレイスや設備の拡張・縮小に悩むことがありますが、クラウド運用においては、フレキシブルなリソースのサイジングが可能となり、インスタンスが稼働した分の従量課金に納得感があります。
また運用面では働き方の自由度が広がり、在宅や時短の人員活用も増え、セキュリティ面においてはデータの紛失・漏洩のリスクを抑えられます。


 

現時点ではすべてをクラウドに完全に置き換える事は難しいので、オンプレとクラウド、それぞれのメリットを活かしてハイブリッドな運用をしていますが、今後は益々クラウドの優位性が理解され、クラウドで運用する環境が確実に広がって行くでしょう。

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