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新型コロナウイルスと戦え!リモート中継収録対応中!

2020.07.06 制作技術

新型コロナウイルスはテレビ業界にも大きな影響を与え、スタジオでの収録に人数制限が加わりました。中継先にも私たち技術の人間が行けない状況で放送をする機会が増えています。
このような状況でも番組制作が出来ているのは、リモート中継の方法が確立されたためではないでしょうか。

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リモート中継では、各中継先とパソコンを利用して映像と音声のやり取りを行います。
そのため回線速度によって、映像と音声が途切れるという弱点はありますが、中継車からのマイクロ波や光回線を使用するよりも少人数、少機材で運用することが可能です。またインターネット回線を使用するという事は、日本国内のみならず海外からも中継ができてしまうということです。実際のリモート中継では、信号のやり取りなどで写真のようにパソコンが沢山並ぶことになります。

今回は私が担当した収録番組を元にリモート中継を行う流れを紹介していきます。
番組収録を行うには、主に以下の3つの工程があります。
 ① 制作担当者と打ち合わせをし、どのような収録形態で行いたいか確認し、システム提案を行う
 ② カメラ・音声・VEがお互いに連絡を取り合い、細かい収録システムを構築
 ③ 収録当日に、機材セット・収録・撤収を行う


1.制作担当者と打ち合わせをし、どのような収録形態を行いたいか確認し、システム提案を行う

まずはリモートでの打ち合わせを行いました。
この打ち合わせも在宅勤務により自宅からの参加です。
打ち合わせでは、制作担当者から、スタジオとリモート先にいる演者さんの情報、リモート中継の想定使用ソフトなど大まかなシステムを提案してもらいます。その提案をもとに、私たちが問題なく収録が出来るよう、音声の返しシステムや収録方法、パソコンの接続方法を提案し、制作とシステムの共通認識を持ちます。


2.カメラ・音声・VEがお互いに連絡を取り合い、細かい収録システムを構築

制作担当者との打ち合わせ後、技術担当者で細かいところを詰めていきます。例えばパソコンから音声を取り出す方法だけでも、"オーディオI/Fを使用する""4極変換ケーブルを使用する""HDMI出力のEMB音声を使用する"という3種類の方法があるため、現場によって最善の方法を検討し、機材の準備をしていきます。

ある収録では、このような簡易システム図を作成し共有しました。
システム図は作成するのに手間はかかりますが、時間が無い中でシステム構築をする際に役に立つものです。また当日に制作担当者から変更要望があった際に、技術全員で簡単に情報共有できるのも、資料があってこそです!

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3.収録当日に、機材セット・収録・撤収を行う

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いよいよ収録当日、今までの打ち合わせ・資料を元に準備を進めていきます。
当日担当する技術の人数も、コロナ禍の影響に伴い最少人数で作業にあたらなくてはいけません。今回は、カメラマン、音声、VE各1名ずつの計3名にて対応です。
淡々と作業すること1時間、ほぼシステムを組み上げチェックをしていきます。しかし番組制作にトラブルは付き物!
今回もチェック時にトラブルが発生してしまいました!

今回のシステムでは、事前に作成したVTRをリモート先の出演者さんに見せるために、通信ソフトの「画面共有」という機能を使用します。しかしこの共有機能の問題なのかパソコンのスペックの問題なのか、映像がカクカクし音声も途切れ途切れになり、リモート先でしっかりと見聞きするには困難な状態だったのです。

このようなトラブル時に対応するのも私たちの仕事です。思いつくあらゆる方法を試していきました。
通信を有線LANから無線LANに変更、通信ソフトの再起動、PCの変更、画面共有機能ではない代替機能の提案、etc・・・
試行錯誤すること約1時間、VTR再生パソコンと画面共有パソコンを別にすることで、パソコンにかかる負担を減らしスムーズにVTRを見聞き出来る状態まで持っていくことができました。

その後、日本のみならず韓国ともリモートを繋ぎ、無事収録を終えることができました。

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VEである私は以前まで、【ベースバンドシステムの構築】【カメラ調整】など業務機器をメインに仕事をしてきました。
しかしリモート中継収録では、【ネットワークの管理】【パソコンの設定と管理】【パソコンからの映像出力及び入力】と民生機を使用したIT系?の仕事に変わってきています。私の仕事だけでなく、放送技術はこの流れのまま、ITを使用したシステムへ変わっていきます。
もちろん私たちは、今後も最新の技術や知識を取り入れ提供していきます。
最新リモート中継から従来の中継車での中継まで、ぜひNiTRoをご活用ください!

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在宅勤務中の筆者