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入社7年での大役

2020.03.31 制作技術

2020年3月11日。
東日本大震災から9年経ち、避難指示が一部解除された福島県のJR常磐線双葉駅前から、入社7年目の私がチーフカメラマンとして被災地からの中継をおこないました。

JR常磐線は震災以来9年の歳月を経て、3月14日に全線が開通予定。
双葉駅は福島第一原発から約4kmの場所にあり、双葉駅周辺は震災以来「帰還困難区域」に指定されているため、今回避難指示解除された駅前から道路を一本渡ると、今でも住民が暮らすことができず、震災で被害を受けた建物はほぼ当時のままでした。

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駅前にてカメラ調整中


私は2015年以来、3月11日の被災地からの中継を毎年担当しています。
2015年と2016年はカメラアシスタントとして、2017年はカメラマンとして。
また、2018年にはnews zeroのクレーンカメラを担当し、昨年2019年は上空からのヘリコプター空撮中継をおこないました。そして2020年、今年はチーフカメラマンに抜擢されました。

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2017年:カメラ担当 2018年:クレーンカメラ担当

1か月前から担当ディレクターと打ち合わせと下見を何度も行い、カメラ台数やカメラの位置取り、ケーブルルート、番組構成、中継機材やクレーン機材の選定など、番組を作り上げる段階から携わりました。

夕方放送のニュース番組での震災中継部分だけではありますが、入社7年目でチーフカメラマンという大役を担当して、番組をゼロから作り上げる事の難しさを改めて実感しました。

また今回難しかったのは、中継を予定している場所周辺が復興へ向けて日に日に工事が進む環境だったため、行くたびに状況が変わっていたことです。下見の都度、ケーブルルートやカメラの位置取りなども変更。現地では工事関係者の方との打ち合わせでいただいた完成予定図などを参考にして準備を進めていきました。最終下見の時でも駅前は未完成だったので、本番当日にある程度臨機応変に対応できるように準備をしました。

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下見時、駅前は未完成 整備された駅前広場

今回の中継規模は、技術スタッフだけで34名、カメラはテクノクレーン1台を含む5台、カメラケーブルは合計で約2.7kmにもなりました。
中継当日は朝7時に現場に到着し、夕方16時の番組開始に向けセッティングとリハーサルを進めていきました。そして迎えたOAは機材トラブル等もなく、無事に終えることができました。
初めての大規模な中継のチーフカメラでしたが、私自身改善するべき所がたくさん見つかりとても良い経験となりました。

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駅前でのセッティングの様子 OA終了後

6回目の震災中継を終えて・・・
2015年から毎年、震災中継を担当してきました。

2015年は今回の双葉駅から東京方面に3駅離れた富岡駅から中継を行いました。その時、富岡駅前などは震災当時のままで整備されておらず、汚染土などが仮置されている状況を中継しました。
震災から9年を経て、2020年3月14日に常磐線が全線再開し、東京・上野から仙台まで結ばれることになりました。綺麗に整備された双葉駅前を見ると復興への歩みは着実に進んでいるなと感じましたが、振り返って見ると時間が止まった町がそこにはありました。

今年の中継は、JR常磐線の全線開通という復興への大きな一歩を伝えましたが、避難指示が続く町を見ると復興への道のりは、まだまだ終わっていないと感じました。
私のカメラマンとしての道のりも、大きな一歩を進んだ中継になりました。
まだまだこれからがんばります!!

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筆者