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全米が熱狂するスポーツイベント! それはスーパーボウル!

2020.02.26 制作技術

みなさま、アメリカの4大プロスポーツというのをご存じでしょうか?
アメリカでは様々なプロスポーツが行われていますが、その中でも特に人気の高い野球(MLB)、アメリカンフットボール(NFL)、バスケットボール(NBA)、アイスホッケー(NHL)の4つをアメリカの4大プロスポーツと呼んでいます。

さらにその中でもアメリカンフットボール(NFL)は飛びぬけて人気が高く、4大プロスポーツと一括りにされますが、地上波プライムタイムでレギュラー中継をしているのはもはやNFLだけ。しかも毎週のテレビ視聴率においても、大人気ドラマやバラエティなど全番組を差し置いて常にこのNFL中継がトップを独占し続けています。そのNFLの年間チャンピオンを決定する最終決戦がスーパーボウル。世界にも他に類をみない超ビッグスポーツイベントであり、世界最強のテレビ番組でもあるのです。

NFLは、日本プロ野球のセリーグとパリーグと同様にアメリカン・フットボール・カンファレンス(AFC) とナショナル・フットボール・カンファレンス (NFC) の2つに分かれており、両カンファレンスにそれぞれ全米各地の16チームが所属しています。毎年9月に開幕するレギュラーシーズンで各チームが16試合を戦い、その後トーナメント方式のプレイオフを経て、AFCとNFCの優勝チームが決定。その両チームが全米チャンピオンを賭けて戦う試合がスーパーボウルなのです。
NFLはレギュラーシーズンも毎週視聴率トップを独占しておりますが、スーパーボウルはまさにスーパー。
アメリカのテレビ視聴率はどんなに頑張っても二桁取れる番組がまずない中、今年の試合の平均視聴率は41.6%!

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空港はスーパーボウル一色 スーパーマーケットで売っているケーキも
スーパーボウル仕様

ライブ配信などデジタル展開も最先端、合間に流れるCMも常に人々の話題を独占する等、日本の民放テレビ局がデジタル時代の今まさに研究すべきことだらけの、「テレビを超える最強テレビ番組」なのです。今回はその現場の一端に触れることができました。

さて今年のスーパーボウルはNFCチャンピオンの「サンフランシスコ・49ers」 とAFCチャンピオンの「カンザスシティ・チーフス」の戦い。その決戦の場所はフロリダ州マイアミにある、ハードロック・スタジアムでした。

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スタジアムの外観も"スーパーボウル仕様"になっていました

 


 

両チーム選手のマイアミ入りは、かつてイチロー選手も所属したマイアミ・マリーンズのスタジアムをNFLが借り切り、大々的に開催されました。
他にも多数の大規模イベントあり、1週間の来場者は200万人!
たった1試合の為とは思えない圧倒的スケールです。

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マイアミビーチにもテレビ各局が臨時大型スタジオを設置
試合前1週間はここからニュースや情報番組を生放送!
スタジアム脇にも臨時スタジオ設置
視聴者のワクワクを掻き立てる番宣効果で試合中継へ

試合当日のスタジアム脇には、超巨大なパーティ会場が出現し、グラミー賞歌手など超人気アーティストが次々とパフォーマンス。
ビッグゲームへの期待感で興奮は最高潮に!
チケット保有者へのNFLの招待で、食事もお酒も全て無料です!

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今回のスーパーボウルの放送のために日本から現地に行った技術スタッフは音声担当の私一名でした。
国際映像はホスト放送局であるアメリカのテレビ局FOXが制作します。現地の中継車を使用し、私の他にニューヨークのNTVICからの応援スタッフであるTD 1名、カメラマン 2名、音声 2名が加わり、日本テレビが独自に手配した「ユニカメラ」を、中継車で国際映像と切り替えて日本向けに制作した番組を衛星回線で本社に送っています。

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いくつものスタジオが設置され、日本とは比べ物にならないぐらい大きな規模のプレスセンター

ユニカメラを入れる理由としては、たとえば国際映像でハイライトを再生している間に、日本向けには本社からのVTRを流す場合や、国際映像が乱れた時の逃げ道として。また国際映像とは違う独自の映像を出したい時などのためです。

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今回使用した現地の中継車 中継車内の音声卓

さらに東京の日本テレビではユニ回線とは別に国際映像回線に乗ることが可能です。これはもしユニ回線の衛星回線にトラブルがあった場合や、ユニの中継車のトラブル時などの予備として使用することを想定しています。

 


 

ちなみにスーパーボウルといえば豪華なハーフタイムショーが有名ですが、これは映像・音声共に国際映像回線を使用しています。
今年のハーフタイムショーは、初めてラテン系歌手であるジェニファー・ロペスシャキーラが登場し、物凄い迫力のステージを務めました。
マイアミという土地柄、ラテン系の観客も多く、盛大に盛り上がりました。

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圧倒的スケールのハーフタイムショー
終了後の選手入場でまたさらに大歓声! そして後半キックオフ! 最高の演出です

 


 

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放送席から見えるスタジアム。ここに約6万人以上の観客が入り熱狂する場面は想像を絶します

音声に関してはマイアミの現場で日本テレビに向けての実況や解説のコメントをつけています。今回の「コメンタリーシステム」は現地のLance DESIGN社という会社の製品で、日本テレビ向けに構築してもらったシステムを使用しました。
「現場でしか体験できない感動」「客席からの大きな声援」など、現場でしか伝えられない熱量をアナウンスしてもらうために、現場で実況解説やコメントをつけています。

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国際音声を制作しているFOXからは何回線もの音声素材をもらいます。その種類は14種類。
それ以外にも日本テレビで独自にノイズマイクを設置し、映像に合わせた音声を適宜ユニ回線にのせて日本に送っています。また日本テレビの日本語コメントは別途IP伝送装置を使用して日本に送っています。

 


 

今回初めてスーパーボウルの現場について、スーパーボウルでしか体験出来ない、スリルと興奮を体験出来ました。
試合結果は31-20でカンサスシティ・チーフスが50年ぶり2度目のスーパーボウル制覇!

まさしく「世界最大のスポーツイベント」に参加できて本当に良かったと思います。
日本の大会とは規模も世界観も全てが想像のはるか上にありました!

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筆者