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皇居から赤坂御所まで4.6kmの沿道リレー中継

2019.12.02 制作技術

■ 祝賀御列の儀

「しゅくがおんれつのぎ」
聞き馴染みのないこの言葉を25歳になって初めて知りました。
元号が平成に変わった時に行われた前回の祝賀御列の儀は29年前の平成2年11月12日。その時私はまだ生まれていませんでした。
NiTRoに入社して4年目、報道中継に異動して約1年経った私ですが、今回の即位パレード中継では皇居前広場でミキサーを担当しました。

■ 令和になって

新元号の令和を迎え、天皇皇后両陛下の即位を祝うパレード「祝賀御列の儀」が、令和元年11月10日に行われました。
日本テレビでは、両陛下がオープンカーに乗られ、国民へ即位を披露する姿を「news every. 特別版」にて完全生中継しました。前回の即位パレードを超える、およそ11万9000人が沿道でパレードを見守り、日の丸を掲げ祝福する現場の様子は、実にあたたかみのある華やかな雰囲気に包まれていました。
沿道に足を運んだ人だけではなく、TVやSNSで見届けていた人も多いと思います。

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沿道には多くの人たちが集いました

パレードはどのように中継されたのでしょうか

皇居の宮殿から赤坂御所までの約4.6kmを映像で繋いだ今回のリレー中継は、大きく分けると民放代表NTVユニという2つの中継の映像で成り立っています。民放代表では在京5社が皇居から赤坂御所までを、①皇居・赤坂御所内、②皇居~国会議事堂、③国会議事堂~赤坂見附、④赤坂見附~青山1丁目、⑤青山1丁目~赤坂御所の5つの区間に分かれて担当し、パレードの様子を撮影しました。

もう一方のNTVユニとは「日本テレビが独自に使用する映像」のこと。NTVユニでは皇居から赤坂御所までの全区間の中から中継ポイントを決めて撮影しました。このように沿道のリレー中継は民放代表の映像とNTVユニの映像を日本テレビ本社で切り替えることによって制作されました。
日本テレビではNNN系列各局、プロダクションの協力を仰ぎ、民放代表区間に中型中継車を2台、NTVユニ中継ポイントに小型中継車を6台の合計8台の中継車が出動する、まさに「総力戦」で中継に挑みました。

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皇居前広場周辺の代表とユニで使用した映像・音声ケーブルだけでも、直線距離にするとなんと4㎞以上!!!!
レインボーブリッジ2往復半ほどのケーブルを人力で引きました。
東京都内でこれほどの長さのケーブルを引くことは滅多になく、私にとっても即位パレードは未だかつてない大規模中継の経験となりました。

■ 民放代表とNTVユニでどんな音をとっているの??
特番のパレード中継は、皇居から赤坂御所にかけてアナウンサー12名によるリレー形式で実況されました。映像だけではなく、音声ももちろん民放代表とNTVユニでは役割が異なります。
代表では奏楽隊、車列のノイズ、沿道に集う人の歓声や熱狂の雰囲気を収音し、ユニでは中継ポイントごとにアナウンサーの実況する声を収音。番組はスタジオアナウンサーとゲストの声に加えて、代表で収音する現場の雰囲気とユニの実況を本社サブコンでMIXすることによってOAされました。

私は皇居前広場の中継ポイントでアナウンサーの実況の声を収音しました。実況リレー沿道1番目のミキサーを担当し、生中継でMIXすることは手が震えるほど緊張しました。しかしながら、令和の歴史のひとつに刻む中継にやりがいや高揚感をとても感じました。
いつの日か、歴史の記録映像などを遡るとき、きっと自分が携わった「この日の出来事」を思い出すに違いありません。

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皇居前広場・ユニのカメラポジション 日本テレビ中継車のミキサー

■ さいごに
NNN系列で応援に来ていたスタッフの中には、2年前の研修会で知り合った方がいました。このような機会に一緒に仕事をする事ができ、大変うれしく思いました。
いよいよ来年は東京オリンピック・パラリンピックが開催されます。大会終了時は前回大会のようにメダリストが集まるパレードがきっと催され、今回のような大規模沿道中継があるでしょう。その時も歴史的な中継に携われるよう、今後も益々精進していきたいと思います。

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筆者(カメラ調整中)