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君の知らないリモサブ話

2019.06.28 制作技術
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初めまして!中村晋也です。
僕は普段、リモートサブ(以下、リモサブ)っていうところで働いているんですが、
リモサブって言われてもよく分からない人がほとんどですよね。

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うーん さっぱりです・・。どんなところなんですか?
(急に出てきてすいません。みなさんはじめまして!天の声役、はみがきたろうです)

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リモサブは、簡単にいうとスポーツ中継で受けサブとなるところですね。
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受けサブ・・・ですか?
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そうですね。
中継先が信号を送る側だとしたら、局内にあるサブコンは受ける側ですよね。

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そうですね。
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つまり・・そういう事です。
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そ、そですか(汗)


coffee break リモサブについて

リモート・・・遠く隔たった、の意。中継のことですね。
サブ(サブコントロールルーム)・・・副調整室ともいいます。

CMを含め完成した番組はすべてマスターコントロールルーム(主調整室)から送信所に送られますが、
マスターコントロールルームの前に映像や音声の調整を行うことから、
"サブ"コントロールルームといいます。

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リモサブには、リモ1とリモ2の2つのサブがあります。
こちらはリモート1サブです。


pic_02.jpg あの、そもそもなんですけど、
スポーツ中継でわざわざ受けサブを使う必要ってあるんですか?サブコンを通さずに、そのまま放送しちゃえばいいと思うんですけど。

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うんうん、僕もそう思ってました。中継車から直接マスターに送れないのかって。
そうですね、これに関しては3つぐらい理由があるので、順番にお話していきますね。

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お願いします!
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まず1つ目の理由なんですけど、生放送はアンタイム運行だからです。
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うおお!また新しい言葉がっ・・
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アンタイム運行っていうのは、CMなんかのタイミングが決まってないことですね。
その時の試合展開を見ながらCMタイミングを決めていきます。
CMタイミングも演出のうちですからね。

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なんかかっこいい!
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そして日テレの場合、生放送に対応したサブコンには「アンタイムボタン」っていうものがついていて、それを押すと3秒後にCMに入る仕組みになっているんです。
逆に言うとアンタイムボタンがなければアンタイム運行はできないってことになりますね。

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なるほど、生放送ってそうやってCMに切り替わっていたんですね。
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はい。そして2つ目の理由がこちら!
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急にコーナーっぽくなってきました。
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番組の途中に中継が途切れたりすると、試合を楽しみにしている視聴者のみなさんががっかりしちゃいますよね。

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あれ? ってなっちゃいます。
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中継は、信号の伝送トラブルによって放送できなくなるリスクが常に付きまといます。
海外からの中継だとなおさらですね。そこで、本命・予備という伝送経路の違う回線を2つ用意します。

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分かりました!本命回線がダメになったときは予備回線で運用するんですね!
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その通りです。
受けサブにはスイッチャーがいるので、この切り替えをスムーズにおこなうことができます。これが2つ目の理由ですね。

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なるほど!
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そして3つ目ドン!
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だから何のコーナーですかっ!
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すいません、番組感を出したくてつい・・・
3つ目の理由は、現場ではできない演出をするため、ですね。

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たとえばどのような演出なのでしょう??
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VTRを流したり、スーパー(テロップ)を合成したり、いちばん分かりやすいのはスタジオ展開ですかね。
リモ1にも"リモサブ" なのにカメラがあって、スタジオ展開 ができるようになっているんです。海外からの中継なんかでよく使っていますね。

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スタジオ展開は分かるのですが、VTRやスーパーも受けサブで入れているんですね。
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"基本は"ですね。映像の二次使用も考えると、受けサブで入れる方が都合がいいんです。
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二次使用、ですか。
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はい。
再放送用やニュース番組用など、OA用の回線とは別に、VTRが入らない回線や必要なスーパーだけが入る回線を作っています。
受けサブで入れることによって、同じ局内である各所への分配がとてもしやすく、現場‐本社間の回線を減らすこともできます。局内だけでなく、ネット局や海外のテレビ局に送ることもあるんですよ。

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OAだけに気を配ればいい訳じゃないんですね。
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そうですね。
そして、リモサブがスポーツ中継の受けサブに特化しているのは、この回線をたくさん作ることができるからっていうことと、スポーツコーダーが常設されているからっていうことが大きいです。

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すぽーつこーだー?
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リアルタイムでデータを反映できるスーパーのことで、野球ではBSO(ボール・ストライク・アウト)のカウントだったり、球数、球種、スピードガン、得点、選手の情報などをこのシステムで作成しています。
スーパーの準備と結果の反映がとても早いので、スポーツ中継には欠かせないシステムなんです。

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スポーツコーダー、すごい
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スポーツコーダー、大好き


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こちらはリモート2サブの写真です。
写真手前の列でスポーツコーダーを操作しており、
状況に応じてスーパーを準備しています。
スポーツ中継に欠かせないこのスポーツコーダーはリモサブに常設されています。


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というわけで、スポーツ中継は全部が全部現場で作っている訳ではないんですよ。スーパーやVTRは受けサブ担当なので、現場とリモサブが連携を取りながら番組を作っているんです。

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へぇ、リモサブってただ信号を受けるだけでなく、大切な役割を担っていたんですね。

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そうですね。
そんなリモサブですが、最近リモ2が更新されて新しくなりました。
僕も更新チームの1人として、更新に関わらせてもらったんですよ。
映像担当なので、映像システムに関してのみ、ですけどね。

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すごい、更新ってサブコンを一から作るんですよね!
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そうですね。
日本テレビのサブコンを、自分の案も組み込んでシステム設計してもらえるなんて、とてもやりがいがありました。

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今入社7年目ですよね。
もうそんな大きな仕事を任せてもらえるんですね。

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えへへ。
それじゃあ、新しくなったリモ2ならではのものをちょっとだけ紹介しますね。


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これはスイッチャー の目線で撮ったパノラマ写真です。
ブラウン管だったモニターがようやく液晶になり、とても見やすくなりました。
スイッチャー卓にも大きめのマルチビューアーを用意し、各素材の把握がしやすくなっています。

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こちらは2nd卓です。
1つのサブコンで、2つ以上の放送波を同時にOAすることができます。
プロ野球中継は基本このスタイルで、CS放送と、地上波 or BSを同時にOAしています。
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メーカーに作っていただいた、スーパー を全てOFFにできるボタンです。
提供やPRなど、スーパーが乗ってはいけない場合にとても便利で、
通称中村ボタンと言われています。
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リモサブではたくさんのスーパーを扱うので、スーパー用のボタンもたくさん。


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いいサブコンになって良かったですね!
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はい。
他のサブコンとは少し違うかもしれませんが、スポーツに特化したサブコンとして、使いやすさを実感しています。

今後十数年使われるって考えると嬉しいですね!
これからラグビーワールドカップや東京オリンピックなど、大きなスポーツイベントが目白押しなので、リモサブも頑張ってるんだなと、ほんのちょっとでも思っていただけたら幸いです。

以上、リモサブからでした。

 


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筆者
2013年入社。
制作技術部VEを経て、現在はリモサブの
映像(スイッチャー/VE)を担当する。