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制作技術部・TDのお仕事

2019.04.08 制作技術

みなさんこんにちは。入社3年目、制作技術部VEの柳原です。

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私は入社してからの2年間、「VE」として中継やスタジオで番組制作に携わらせていただいていますが、最近は新たに「TD」という業務を任せていただけることが少しずつ増えてきました。

NiTRoは3月23日(土)に日本テレビタワー2Fで開催された、「日テレグループ3社合同会社説明会」に参加しました。当日はNiTRoの制作技術部門では、「カメラ3台を使用した簡易スタジオ」を作りましたが、私はその時のTDを担当させていただきました。

今回はこの時のTD業務について、皆さんにお伝えしていこうと思います。

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■ TDの仕事とは?
TDとはTechnical Directorの略で、技術の現場責任者として位置づけられています。
実際の業務としては、ざっくりいうと以下の通りです。

1. 打ち合わせをする
まずは打ち合わせです。クライアントさんが「何をしたいのか」を聞き、それに合った映像・音声システムを決めます。具体的にはカメラ、スイッチャー、ミキサーなどの種類や台数、どこのモニターに何の映像を映すなどを決めるということです。
機材も機種によってグレードや機能が様々ですので、機材ごとの「できること」と「できないこと」の分別をすることも重要です。例えば、あるスイッチャーはスーパー可能だが、タリー不可能というような特徴を掴んで機材を決めていきます。
TDはカメラマンや音声さんが担当する場面もありますが、中継車やサブコンのようなシステムを作る場合には、普段いろいろな機材に触れているVEがTDを担当することが多い傾向があります。
 
2. 系統図を作る
大まかなシステムが決まると系統図を書きます。系統図とは、「それぞれの機器をどのように結線するか」を記した現場の基本となる図面です。
ただしTDは、例えば「カメラ3台でスイッチングあり、スーパーなし」というような概要の情報を考えるのみで、実際に系統図を書くのはチーフVEが担当することが多いです。
 
3. 機材チェックを行う
システムが決まって系統図ができたら、事前に社内でシステムを組み、機器同士を結線して動作に問題がないか確認しておきます。これは状況によってTDかVEのどちらかが担当します。 当たり前ですが、現場で初めて扱う機材がないようにしっかり準備して本番に臨むのは、技術者にとっては最も重要なことです。
 
4. 車両を手配する
局内のスタジオでの業務であれば良いのですが、今回の現場は特設の会場だったため、機材を置いてある場所から現場まで機材を運ぶ必要があります。これまでの作業でだいたいの機材量が把握できたので、どの程度の大きさの車両が必要なのかを考え、事前に車両担当者に依頼しておきます。
また現場では「車両が通れるスペースはあるのか」「駐車スペースの確保」なども事前に先方と話し合っておくことが重要です。
 
5. 資料を作成する
準備の最終段階として、ここまでの準備で決まった情報を、現場スタッフが共有できるように「資料」としてまとめておきます。内容は機材一覧やスケジュール、現場のレイアウトなど様々です。
さらに出張の番組になると、宿泊先や弁当の有無や現地での移動方法なども情報として伝える必要があります。
 
6. 現場の仕切り
いよいよ本番です。現場に着いてやることは、「車両の駐車位置の確認」「機材搬入ルートの先導」「スタッフのお手伝い」、そして「先方とのコミュニケーション」などです。
機材さえ現場に搬入してしまえば、あとはカメラマン、CA、音声、VE等の担当が、それぞれやるべきことをやってくれます。そのためTDは各所見回りをして手の足りていないところを手伝い、現場がスムーズに動くように潤滑油として動きます。

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このように、TDは「準備段階が一番の仕事」というイメージがあります。
また実際にTDを担当するようになってからは、「現場で最も機材を触らない人がTD」であることに衝撃を受けました。
現場では「機器同士の結線」「機器の設定」「本番中のカメラの明るさ・色調整」など一番機材を扱っているのはチーフVEであり、TDはクライアントさんとのコミュニケーションを取るのが一番の仕事という役割分担といっても良いかと思います。
とはいえ、何かトラブルがあったときに先方に説明するのはTDの責任なので、誰よりも現場と技術を熟知する必要があります。
さらに、業務に関わる予算、費用の管理や伝票等の社内事務業務も、現場責任者として本来TDが行う業務です。

そんな私もまだまだ3年目なのでえらそうなことは言えず、まだまだ勉強中です。
まずはチーフVEを担当できるように頑張ります。

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筆者