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あの日から8年

2019.03.27 制作技術

2011年3月11日、東日本を襲った未曾有の大震災。

8年という歳月がたった今も、多くの方が故郷を離れ、避難生活を送っています。
福島第一原発のある福島県大熊町では、2019年4月から一部地域の避難指示が解除される見込みで、原発を抱える町として初めて、住民の帰還が始まろうとしています。
それにあわせて町では、原発から7kmの地点に「復興の拠点」として、新しい役場の庁舎を建設しました。

私たち日本テレビ報道中継は、被災地の今を伝えるため、3月11日に復興の象徴である、新庁舎の前から中継を行いました。

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駐車場でクレーンのチェック 多くの機材が並ぶ

報道中継の普段の業務では、突然発生する事件や事故に対応しているため、事前に準備やチェックをすることは殆どありません。
しかし今回の中継では、news every.で4台のカメラ。さらに福島中央テレビ(FCT)さんが担当するnews zeroの中継に、応援としてジブクレーンの機材とスタッフを出すこととなったこともあり、いつもとは異なる大規模な中継に向けて、本社で事前の準備とチェックを行いました。

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NTVとFCTの中継車が並ぶ news every.のカメラの前にはnews zeroのクレーンが!

前日の3月10日に中継現場に入り、セットとリハーサルを行いました。
FCTさんも同時に現場に入り、一緒に作業を進めていきます。
news every.とnews zeroが同じ場所で中継するということで、セット中は何台ものカメラが現場に並びました。
天候も良く、スムーズにセットは進みましたが、本番当日は雨予報。翌日に向けての対策もしっかり行いました。

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リハーサルの様子 雨を想定して傘をさしてのリハーサル

本番当日、私は、スッキリニュース・ストレイトニュース・news every.でカメラを担当しました。
予報通り、降りしきる雨と強風。そんな中、本番に向け準備を進めていましたが・・・。

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役場前には大粒の雨が カメラにレインカバーをかぶせ準備を進めます

本番が始まるころ、大熊町には暴風警報が発令され、残念ながらこの状況では屋外から中継することは危険だという判断が下されました。

そのため、急遽近くにお借りした民家の軒先から中継することになりましたが、判断が下されてから中継が始まるまで約45分!
その時間内に、セットチェンジ・リハーサルを行わなければなりません!
ここは報道中継の腕の見せ所

突発的な状況に素早く対応することは、普段の業務で経験しています。結果として無事に本番を終えることができました。

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急遽お借りした軒先でセッティング 無事中継のOAに間に合う

私は、昨夏、制作技術から報道技術に異動してきましたので、震災関連の仕事は初めての経験でした。
私自身は学生の時に東京で東日本大震災を経験しましたが、8年がたった今、日常生活で震災について意識することは、ほとんどありません。
しかし被災地には、まだまだ復興が進んでいない現状があります。今回、初めて被災地からの中継を経験することで、さらなる復興に向け何を伝えるべきなのか、考えるきっかけとなりましたし、改めて、報道という仕事の大切さを感じることができました。

この経験を生かして、伝えなければならないものを伝えられるカメラマンになりたいと思います。

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台本を確認中の筆者(左)