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編集機の世代交代、続々!!

2020.04.10 ポスプロ技術

突然ですがYouTubeの編集ってどうやっていると思いますか?

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Googleで【YouTube編集】と検索すると、関連キーワードの1つ目が【アプリ】、2つ目が【スマホ】といった具合に、今ではパソコンを使わずに『スマホで撮ってスマホで編集してスマホでアップロード』ができる時代になりました。そんな時代に逆行するかのように、大型パソコンで日々テレビ番組の編集を行っているNiTRoのポスプロ事情について、なぜPCが大型なの?とかにも触れながら、お伝えします。
1年ほど前に、日本テレビタワー19階にあるSHIODOME19BOXの24st、25st、10st をリニア編集室からノンリニア編集室に更新!という記事をお届けしました。
 ▲ 24st、25st更新の記事はこちら
 ▲ 10st更新の記事はこちら
あれから1年が経ち、さらに機材の進化、編集室の更新は続いています。

■ リニア編集室からノンリニア編集室へ
昨今、テレビ番組制作の放送用収録設備がテープを使用したVTRからHDDを使用したファイルベースへ大きく移行しています。また日本テレビの納品メディアも従来のVTR(HDCAM)から業務用ディスク(XDCAM)に全面移行したこともあり、テープをベースとしたリニア編集よりもノンリニア編集の方が優位となるケースも増えました。
そのためNiTRoでも更新時期を迎えたリニア編集室を、順次ノンリニアへとシステム変更しています。

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10st Before 10st After
編集室を広々と使えるようになりました

NiTRoでは今年度にも、SHIODOME19BOXの6st、27stおよび 丸進ビル201stの3部屋のノンリニア化を予定しており、今後さらのリニア編集室の出番は減ってきています。

一刻を争う生放送の「サブ上げ素材」などには、撮影・収録されたVTRテープの映像・音声をそのまま作業できるリニア編集が向いていましたが、編集のファイルベース化が進んでいる昨今、リニア編集はこれからもどんどん減っていくのでしょう...。
さらに編集室構築のための価格もゼロ一つ安くなることも拍車をかけています...

■ ノンリニア編集機も世代交代
NiTRoが従来使用していたノンリニア編集機は「Windows7 / プロセッサ16コア / メモリ16GB」という、今ではノートPCでも搭載できる程度のスペックしかありませんでした。そのためソフトウェアの進化にハードウェアがついてこられなかったり、映像の画質や複雑さが増すにつれて、動作が"もたつく"ことが多くなったりしていました。
そこでノンリニア編集機も更新のタイミングで順次最新の機材へと入れ替えています。

今回は機材だけではなく、壁紙・床材の変更や、部屋のレイアウトを見直し、快適なスペースへと変身させました。それによって、お客様から「あれ?部屋大きくなりました??」と言われるほど、空間を有効に使うことが出来ました。
また編集機のみならず、34インチ"曲面"UltraWide™ディスプレイやデジタルミキサーなどの周辺機器を充実させることでも、作業の効率化を進めています。

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302st Before 302st After
機材も刷新! 部屋が明るくなりました

■ ソフトウェアも新しく!
NiTRoのノンリニア編集ではGrass Valley社製のEDIUSをメインで使用しています。これまでは完パケデータのみの納品が多かったのですが、最近は制作担当者がAdobe Premiere Proでオフラインを行い、NiTRoに持ち込まれてからのオンライン編集もそのままPremiereで作業し、最後にプロジェクト丸ごと納品をご希望されることも増えてきました。そのワークフローに応えるために、EDIUSだけではなくPremiereでも対応できる編集室を増設しました。
さらに編集機だけではなく、キャラクタージェネレータ(テロップ入力ソフト)も新たな機種と組み合わせました。今までは日本テレビ内のシステムと互換をとるために、日本テレビと同型のキャラクタージェネレータである「VWS(朋栄製)」を使用していましたが、今回は社外ポスプロとの互換を考え、業界シェアの高い「TFX-Artist(Photoron製)」と組み合わせたことで、他のポスプロとの連携が可能となり、作業効率があがりました。

■ 各拠点ノンリニア化に伴い
今までは各編集拠点でサーバを立てていましたが、データ移動などの手間を考慮し、データサーバを1拠点化し相互に乗り入れられるように再構築しました。これにより場所を問わずどこでも同じデータを読み込むことができるので、直し作業やレギュラー番組の引き継ぎが「SHIODOME 19BOX」でも「丸進ビル」でも「NiTRo SHIBUYA」でもシームレスに行える様になりました。

■ さいごに
最近ではスマホだけで完結できるくらい気軽に始められる動画編集。その中でいかにプロの技が出せるかが課題になってきていると感じます。いくら良い機材を使っていても、技術進化の波に飲まれるとその機材を活かしきれなくなってしまいます。この凄まじい勢いの波に食らいついて自ら良い波に乗ることが重要になってきています。

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筆者