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CMバンクのお仕事

2019.08.30 放送技術・写真技術

以前の現場リポート「放送技術の業務」でも概要が紹介されていますが、今回はその中から、日本テレビからの受託業務であるCMバンク業務について紹介します。

 

■ CMバンク業務

CMバンクは、名前から分かるように民放テレビ局にとって無くてはならない「CM」を扱っていて、日本テレビで放送される全ての「CM素材」「提供素材」を大容量のビデオサーバにファイリングする業務を行っています。

広告代理店からテープやディスク等のメディアで持ち込まれたCM素材に「不備は無いか?」「ファイリング時に映像・音声にノイズ等が入り込んでいないか?」など、少しの問題も見逃さないように気を付けてファイリングを行っています。もし、間違いやノイズ等に気付かずサーバにファイリングしてしまうと、そのまま繰り返し何度も放送されてしまう事になります。考えるだけでゾッとします。
それぞれのクライアント企業が社内で検討し、日本テレビの番組や時間を買った事によりCMが放送される訳なので、その対価に見合った仕事を皆で心掛けています。

CMは、大きく分けて、通常よく見かける"企業のCM素材"と"日本テレビの番組・事業PR素材"がありますが、これらを1日で約50~150本程ファイリングします。CMバンクでは大量の素材を扱うため、サーバは15秒のCM1本換算で約20,000本収録可能な容量で、不測の事態に備えて現用・予備とバックアップ用の予予備サーバが設備されています。
ここに限らず、放送局の設備はどんな事が起こっても放送が継続できる様に、基本的に色々な設備が多重化され構築されています

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CMファイリング端末 搬入メディア

提供素材は、テレビを見ていてCMの前後で見かけるスポンサー名が表示される「提供テロップ」、その時に"この放送は○○の提供で~"と読まれる「アナウンサーコメント」、番組内で使用される"野球延長により番組が○分延長""この番組のDVDボックスが発売!"などと告知される「番組テロップ」等があります。

日本テレビの営業担当者がそれぞれの部署に素材の作成依頼をして、提供テロップは「ロゴバンク」、アナウンサーコメントは「録音室」で作成・収録された素材がオンラインもしくは記録メディアにより搬入され、CMバンクでサーバにファイリングされます。その他24時間テレビ等で使用されるアニメーション動画提供等は「CG」が素材を作成するなど、様々な部署がかかわって業務を行っています。

サーバにファイリングされたCM/提供素材は、設定されたデータ通りしかるべき時間にテレビ局の終端であるマスターから自動制御で送出され、テレビから流れてくる事になります。

 

■ プレビューセンター業務

またNiTRoでは2017年7月から「プレビューセンター業務」も受託しています。プレビューとは放送前の「下見」のことで、通常はPVと略されます。

PVセンターでは、生放送以外のほとんどの番組をサーバに取り込んで、制作スタッフにより全編下見を行うための運用や下見室の管理を行っています。

放送できる状態になった素材を受付けてPV用サーバへ取り込んで、"ぱかぱかチェック"や"ラウドネス測定"等のQC(クオリティチェック)を行い、まさにテレビで放送される映像を下見してもらっているので、より間違いやアクシデントが起こりにくい設備になっています。

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プレビューセンター受付 収録機器

業務の流れとしては、搬入された素材や資料に不備が無いか、取り込んだ素材に不備が無いかを確認後に下見室で見られるようにセットし、制作スタッフが下見アプリを操作し全編下見を行います。下見にはスポンサーさんが同席の場合もあります。下見の結果、素材に問題無ければ「OK」ボタンを押す事で納品完了となります。

またこの下見時に詳細情報を選択するなどすると、「素材アーカイブ」のためや「字幕」作成のために各部署に素材が転送される機能もあります。

もし下見時に直しが必要な部分が見つかった場合は、制作スタッフにより一旦搬出され、修正後に再度搬入し修正箇所を申告してもらい、PPV卓と呼ばれる「部分下見をする卓」で下見をして問題が無ければ、今度こそ納品完了となります。

その後、放送日が近づくとマスターにある送出用サーバに転送され、前述のCMや提供と同じように自動制御で送出されます。

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下見室

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  PPV卓

CMバンクではどんな業務をしているのか理解していただけたでしょうか。
これまでは技術や営業・広報回りのスタッフとの関わりが多かったですが、PVセンター業務を受託した事で今まで関わりが少なかった制作スタッフと接する事が増えました。

積極的にコミュニケーションを取ってくれる人、疲れて今にも倒れそうな人など、放送局には色々な人がいてそれにより成り立っている業界なのだと改めてわかり、ちょっと面白いなあと感じています。