ニュース

Freshman's Report 2017 Vol.6 「BSマスター」

2017.10.24 放送技術・写真技術

FreshmanReport_6.jpg

10月に入りうららかな日々が続いております。2017年度NiTRo新入社員が入社してから早くも半年が過ぎました。
今回の新入社員リポートは、運行技術部BS日本マスターへ配属となりました有馬が担当いたします。私は大学でプログラミングについて学んでいたため、テレビ局のマスターの業務についての知識は入社するまでは全くありませんでした。今回のリポートを通して、あまり知る機会のないBSマスターとそこでの業務について皆様にお伝えできればと思います。

■ テレビ局最後の砦 『マスター』とは?
制作技術が撮影し、ポスプロ技術が編集した番組素材が、放送局の中で最後にたどり着く場所がマスターです。
マスターでの最大のミッションは、「番組やCMを正常に送出すること」です。その放送進行表の通りに放送されているか、番組やCMにノイズが乗っていないか、など厳しく監視を行います。監視以外には、プロ野球など放送の終了時間が決まっていない番組の延長処理や、急な番組やCMの放送内容の変更なども行います。また速報の送出もマスターの重要なお仕事です。私が業務を行っているBS日本は全国放送で、関東ローカルである地上波よりも緊急性の高い有事に関する速報を送出する可能性が多くありますが、放送の最終段階であるマスターで問題があった場合、放送事故に直結してしまいます。

171020_1.jpg
BSマスターのホワイトボードに書かれた無事故日数

■ 監視のお仕事は楽じゃない!
皆様ご存知の通り、テレビは24時間放送しています。(たまに放送休止中のこともありますが...)
そのためマスターも正常に番組やCMを送出するために年中無休24時間体制で業務を行っています。特に重要な「監視業務」は基本的に2人1組の1時間交代で行います。
あまり広くないBSマスターの中には多くの放送機器がありますが、その中でも基本的には監視卓の前にある大きなメインモニターをみて異常がないかを監視します。

171020_2.jpg 171020_3r.jpg
放送休止中で珍しく人の多いBSマスター 監視卓からの景色

つまり、テレビを見ているだけじゃないか...とお思いになった皆様、それは大きな間違いです!!!
放送機器がいつ故障するか、有事がいつ起こるか誰にも分かりません。
そのためマスターでは「緊急性の高い有事」を想定して毎月異なるトレーニング行い、変化していく有事への対応に慣れるようにしています。
どの様な時でも様々な対応ができるようにするために、私は疑問を見つけたら早いタイミングで質問する様に気を付けています。

■ 有事発生・・・
9月15日(金) 06:57 北朝鮮がミサイルを発射しました。その時私はBSマスターにて業務中でした。07:01に地上波で放送していた「ZIP!」が編成を変更し、緊急特番に切り替わりました。報道フロアとの直接的なやり取りを行なっていないBSマスターでは、速報端末に情報が上がってくるとピーという音と共に赤色ランプが点灯します。
緊急時には時と状況によって、予定と異なった緊急放送に切り替わることもあります。今回は生放送だったため、速報端末に上がってくる前に緊急放送に切り替わるというイレギュラーな状況も考えておく必要があります。
緊急時の対応は人命に関わるため、大至急編成などに確認を取り、07:03にBS放送も緊急特番に切り替え、番組変更のお知らせを送出しました。
またこの後もミサイル関連の速報の送出や通常編成への復帰、L字テロップの送出などを行なっていますが、その説明はまたの機会に。
文字では簡単そうですが、機器操作や対応の判断を間違えると、放送事故になってしまいます。何度か有事対応のトレーニングはしていましたが、いざ起こると想像していたようには動けませんでした。

■ 最後に
私はどの部署に配属されても「他の仕事ではできない事」ができると思い、志望を全職種にしていましたが、配属されてすぐはマスターの業務内容にプレッシャーを感じました。現在は少しずつ解る事が増え、何が起こるか分からない緊張感も心地よく業務に当たっています。BSマスターの一員になって日は浅いですが、何が起こるか分からないマスターで働く上で、何でも楽しむ気持は大切かと思います。
6月に配属されてから3か月は常に先輩の隣で BSマスターの業務に関する研修を受けていましたが、9月より独り立ちをして、ほぼ総ての業務を一人で当たっています。
研修は終わりましたが、知識や経験、判断力がまだまだ足りていないと日々痛感しています。広い視野で好奇心を持つようにし、マスターでどのような事が起きても冷静に対応できるようになります。

171020_4.jpg
筆者


arrow_l.jpg Freshman's Report2017 Vol.5 arrow_space.jpg Freshman's Report2017 Vol.7 arrow_r.jpg