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BS日本のマスター研修を終えて

2017.08.15 放送技術・写真技術

■ はじめに
マスターは、「マスターコントロールルーム」と呼ばれる放送の最終段階であり、正常に番組を送出するために最も重要な部署です。
NiTRoでは数年前から「現場社員が配属部署を離れてBS日本のマスター業務を習得する」という研修を行っていますが、私もBS日本のマスターで6か月間研修をしてきました。
私が所属する制作技術部メディア変換では、収録業務や編集、サブコン業務などをやっており、入社以来、メディア変換以外の業務経験はありませんでした。

この研修に行くまで、メディア変換のサブコンから連絡線や電話でBSマスターのスタッフと話をする事はあっても、直接顔を合わせることはなく、また、BSマスターが日テレタワーの何階にあるのかも知りませんでした。

BSマスターはとてもコンパクトで、ほとんどの機器がAPCと呼ばれる「自動番組送出装置」を使って制御されています。APCのシステムは現用、予備、待機と、3重に構えられていますが、なにか起きたときのシステムの切り替えは手動で行います。

ニュース速報やスポーツ中継の延長処理、緊急時に番組の差し替えなども手動で行います。これらの作業はもちろんミスが許されないので、ダブルチェック、トリプルチェックと何人もの目でチェックをします。

■ 気象特別警報出る!
先日、数十年に一度といわれている気象特別警報が出ました。

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実際に速報スーパーされた大雨特別警報

気象特別警報の速報スーパーを出すことすらなかなか無い事ですが、その日は編成からの指示を受けて番組を差し替える事になり、その日の19時から放送される予定の番組を差し替えになることになりました。放送当日のデータ変更はデータ入力ミスのリスクが高いため、安全を重視してマスター内で運行部員が直接行うことになっています。この日は16時頃からデータを確認しながら変更作業を行いました。

通常の番組はAPCで制御された番組サーバーから送出されますが、この日は緊急で番組が差し替わるため、サーバーに取り込む時間はなく、直接VTRから送出することになります。そのため番組の送出元をサーバーからVTRへの変更を行います。
さらに放送する番組が変わるので、CMに入るタイミング等も全て変わります。続いて、視聴者の皆様に向けての「番組変更のおことわり」テロップデータの追加、さらに番組表の差し替えと作業は続きます。
自分で打ち込んだ時間やデータがもし間違っていたら、即座に大きなトラブルに繋がるため、入力の時は何度も何度も確認をしながら、さらに他のマスターメンバーに何度もチェックをしてもらいました。
この日は差し替えた番組の放送が終わるまでとても緊張しました。

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番組データ差し替え中の筆者

BSマスターでは障害発生や速報など、どんなことにでも対応できるように日ごろからトレーニングをしています。
今回私が作業した、「イベントデータを差し替える作業」も、もちろん事前にトレーニングをしていたため、本番も滞りなく終えることができたと感じています。

■ マスター研修を終えて
マスターは番組素材やCMを送信所に送る最終段階であり、重要な部署です。そこに働く全員が協力しコミュニケーションを取り、安全運行に努めているのがとても印象に残っています。
マスターは24時間業務を行っている現場なので、自分の勤務中にどんなことがあったかなどは、次に交代するスタッフにノートを使って引継ぎをし、さらにその内容を口頭でも伝え、細かい部分まで共有できるような体制を取っています。

6か月という短い期間でしたが、放送局の心臓部ともいえるマスター研修は、これから仕事をしてく上で、とても貴重な経験になりました。

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毎月、連絡・伝達事項でノート一冊を使います