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運行技術部 発 ちょっとだけ技術なコラム 其の弐 「テレビはインタ楽ティブに進化!」

2017.01.11 放送技術・写真技術

~ インタ楽ティブに進化!日本のテレビ放送 ~

前回のコラムでは地上デジタル化の背景や、そもそも「デジタルやアナログは何ぞや?」をざっくりお伝えしましたが、今回はアナログ放送とデジタル放送の違い、放送しているコンテンツの種類など、デジタル放送で何がグレードアップしたのかを今昔交えながらお伝えします。
デジタル化によって「映像が綺麗になった!」「音が良くなった!」の他にも色々あります。


■アナログ/デジタル 電波の違い

昔!アナログ放送  ~2つの電波を使って1つのコンテンツ~
アナログ放送の時は、映像はAM方式(振幅変調)、音声はFM方式(周波数変調)というそれぞれ異なる変調波を合成し、家庭までお届けしていました。ここでのポイントは「映像と音声の電波は別モノだった」ということです。そのため音声の電波だけを簡単に取り出すことができて、結果的にFMラジオでテレビの1ch~3chの音が聴けたということもありました。
コンテンツとしては映像と音声の2つ、電波は2波を使用していました。
さて今は・・・

今!デジタル放送  ~1つの電波を使って複数のコンテンツ~
テレビがデジタルになって、電波は2波から1波にまとめられることになりました。
なぜか?
デジタルは、アナログよりも圧倒的に多くの情報が送れるのです。映像で比べるとおよそ6倍。凄いですね!ちなみに噂の4Kはアナログの約25倍。未来が楽しみでしょう。
映像と音声をまとめて、しかも質を高めたうえで送ってもまだ余裕です。
そこでデータ放送やEPG(番組表)という、新しいコンテンツなんかも実用化して、これらを十把ひとからげ、ごちゃ混ぜにして放送しています。
デジタルだと、複数のデータを混ぜる・元に戻す、データ量を縮める・元に戻す、ということが簡単にできるのです。その裏には非常に高度な技術が隠れているんですけどね。(これはまたの機会に)

 (参考) 技術スペックはこうなっています
技術的には地上波アナログ放送と地上デジタル放送のスペックは次の通りとなっています。

地上波アナログ放送
 映像:640X480i NTSC AM変調 映像の中に字幕等のデータが埋め込まれています。
 ② 音声:FM変調 FMラジオと同じ方式で最大2ch(ステレオ/デュアルモノ)
 ※送信機も映像用と音声用があり、最終的に合成されて送られていました。

地上波デジタル放送
 ③ 映像:1440X1080i 映像符号化 MPEG-2Video
 ④ 音声:音声符号化MPEG-2AAC サンプリング周波数48KHz
      最大6chサラウンド(ステレオ/デュアルステレオ/5.1chサラウンド)
      ISDB-T方式 デジタル変調(OFDM直交周波数多重)


■デジタルニューコンテンツ

それではテレビのデジタル化によって、新しく加わったコンテンツを見ていきましょう。

新形態!データ放送
データ放送はご覧になったことはありますでしょうか?image1.jpg
リモコンの「d」ボタンを押すと、右図のように映像が縮んで "L字型のパネル"が出ると思います。これがデータ放送画面です。
データ放送では天気やニュース等の生活情報をはじめ、番組に関連したゲームやポイントを貯める事の出来る番組専用コンテンツなどを放送しています。
例えば朝の情報番組『ZIP!』では、素敵なプレゼントが当たる番組連動専用型のコンテンツを放送していますし、受信機に設定した郵便番号情報を元に、その場所の天気を自動的に表示することもできます。
更にはCM・データ放送・携帯アプリと連動したコンテンツも始まりました!
データ放送は開始当初から常に進化を続けており、日本テレビもよりユニークで、スケールアップしたデータ放送をお届けすべく、日々開発に取り組んでおります。

便利な番組表!その名はEPGimage2.jpg
皆様は既に活用していらっしゃると思いますが、各局の番組表がテレビで見られるようになりました。
この番組表は放送の運行とシンクロしていて、常に最新の状態になっています。元々の番組が無くなり報道特番になればもちろん更新されますし、番組が延長されれば表示も延長されます。
例えば、右図のように番組Aが延長されると放送枠が拡大され、次以降の番組は人知れず繰り下げられていきます。HDDレコーダで番組の録画予約をしていて直前の番組が急遽延長した場合も、レコーダはEPGの情報を参照して録画するのでしっかりと追従してきます。前番組の延長により、「番組の後半が欠けた!」とか「全く録れなかった!!」という負の衝撃からは解放されます。楽な時代が来ましたネ!




LIVE感覚!5.1chサラウンド
image3.jpgアナログ時代まで、テレビの音声は2chの放送だったため、2個のスピーカーを使ったステレオ放送まででしたが、現在は6個のスピーカーを使っての「5.1chサラウンド」の放送が可能となっています。
5.1chでは左右のスピーカーに加え、中央・左後・右後と、低域用のサブウーハー(SW)の計6個のスピーカーを使います。スピーカーを6個使っているのに5.1chと呼んでいるのは、サブウーハーが低音再生専用なので、他のスピーカーと区別して0.1chとカウントするのですね。
ちょっと出費がかさみますが、サラウンド環境を備えていれば、高音質の音が360°から飛んで来るような感覚で、スポーツ中継や音楽ライブ放送などはその現場にいるような感覚が味わえます。
またブルーレイやDVDでも映画等で5.1chのソフトがありますのでより深く楽しめます。音量にはご注意を・・。
サラウンドの環境がない場合でも、5.1ch放送時は受信機にて2chステレオへ変換して再生します。
テレビまではすべての音が来ています・・サラウンドはすぐそこに・・。


■おわりに

image4.jpg今回はいかがでしたでしょうか?
使う電波は1つになったけれど、送れる内容は数倍に増えた事で、様々なテレビの楽しみ方が生まれました。その分、"テレビの側"にいる私たちの仕事も増えたんですけどネ! お仕事お仕事。
次回もデジタルにちなんだトピックスをお届けします。









筆者