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ウェブサイトの技術が放送テロップに! 新たなオンエアグラフィックスシステムを初運用!

2022.07.15
制作技術・報道技術


こんにちは!コンテンツ戦略部の寺井です。

7月6,7日にHulu、GIANTS TVのマルチアングル配信として実施されたボリュメトリックビデオ(自由視点映像)にて、Singular.live社(シンギュラー.ライブ社 以後Singular)の技術を用いて弊社で開発した新たなオンエアグラフィックスシステムを初運用いたしました。
 


ボリュメトリックビデオのオペレーションブースの様子


なんのこっちゃ、と思いますので簡単にご紹介したいと思います。

皆様はウェブサイトがHTML(Hyper Text Markup Language)という言語で表現されていることは聞いたことがあるのではないでしょうか。Singularの技術はこのHTMLを放送用のグラフィックスとして扱うことができるように作られたクラウドのアプリケーション(SaaS)です。

通常放送用のCGは大きなデスクトップPCでレンダリングとよばれる画像処理を行って、放送用信号になって送出されるため、機材コストや現場スペース、手持ち台数を超えた運用が難しいという課題を持っています。

Singularの技術は、これらの処理をすべてクラウド上で完結させて、ライブ配信の映像に重ねてあげることができるため、通常みなさんが業務するようなノートPC1台でオペレーションができ、レンダリング処理はクラウド上で行うことができます。また出力数には制限がないため、多数の現場での運用が同時に発生した場合でも対応ができます。


Singularを用いた運用イメージ


今回は、放送用の信号で運用したいというリクエストでしたので、ノートPC2台を用いて、1台を放送用信号に変換するための機材として、もう1台を実際のオペレーションを行うための機材として用意しました。


ボリュメトリックビデオでの運用イメージ


またHTMLという非常に汎用的な技術を用いているため、インターネット上を含めた様々なデータとの連携が極めて簡単に行うことができます。

今回のボリュメトリックビデオでは、選手情報(上部対決スーパー)やQショットの点数などをGoogleのスプレッドシートで管理し、その情報を随時Singular側に送ることで、スポーツコーダーのようなリアルタイムに変わる情報に対応させることができました。
 


CG送出に関連する3台のPC

 


スーパーのOn/Offは汎用品で可能


また、日本テレビのAi技術「エイディ」とも連携し、東京ドーム側の得点板管理画面映像から文字や図形情報を読み取り、それをリアルタイムでSingular側に送信することで、BSOカウントやスピードガン表示の自動化に成功しました。今後開発が進めば、ある程度の情報を全自動で送出する、まさに番組制作DXを実践できるようになるかもしれません。
 


実際の配信画面


放送用フォントへの対応や複雑な文字装飾、3Dなど、従来のスポーツコーダーやCG作画機と比べると課題もまだまだありますが、シンプルにグラフィックスを表示したり、データと連携したグラフィックスを作成したいという需要には応えられるのではないかと思っています。
例えばtwitterなどのSNSとのデータ連携や、ニュース情報との連携、HTMLがベースである利点をいかし、デジタルサイネージや縦型動画へのグラフィック対応なども可能です。

今後NiTRoでは、Singularの技術のポテンシャルを最大限に活かすための研究開発、そして番組制作をはじめとするクライアントの皆様への活用提案などを積極的に行って、クラウド技術を生かした番組・配信制作DXの一助となるべく努力してまいります。

お問い合わせ、ご質問はコンテンツ戦略部まで。



Singular.live社のオフィシャルサイトにも掲載されました。

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